「原材料高」に加え、「中東発」コストが新たな主因に
今回の特徴は、原材料高だけでは説明できない複合的なコスト上昇が鮮明になっている点だ。
値上げ要因では、「原材料高」が90.9%と依然最多を占める一方、「物流費」は65.8%、「包装・資材」は64.0%と高水準で推移した。
さらに注目されるのが、中東情勢を直接的な要因とする値上げが27.8%を占めたことだ。
イラン情勢を巡る地政学リスクの高まりやホルムズ海峡を巡る混乱は、原油価格の上昇だけでなく、食品トレーやフィルム、インクなど石油由来資材の価格を押し上げた。これらは食品メーカーの包装コストを直撃し、物流費やエネルギー価格の上昇とも重なって、製品価格への転嫁が一段と進んでいる。

足元は円安と異常気象も重荷 「値上げしない理由がない」状況に
足元では、1ドル160円を超える歴史的な円安が続き、輸入原材料や海外調達コストの負担が再び拡大している。
加えて、国内外の異常気象による農産物や水産物、畜産物の生育不良・不作への懸念も強まっており、食品価格を押し上げる要因は一段と複雑化している。
従来は小麦や食用油など原材料価格が値上げの中心だったが、現在は物流、人件費、エネルギー、包装資材など、構造的かつ固定化しやすいコストが積み重なっており、食品メーカーにとっては「価格改定を避けにくい」局面が続いている。
消費税率引き下げでも値上げ圧力は限定的
政府は食品の消費税率を8%から1%へ引き下げる方針を示しており、実現すれば家計の負担軽減には一定の効果が期待される。
一方で、食品メーカーが直面するコスト上昇の主因は原材料だけでなく、物流費や資材費、人件費などの恒常的なコストで占められている。このため、減税によって消費者の購入負担は和らぐ可能性があるものの、メーカー側の値上げ圧力そのものを抑える効果は限定的との見方が強い。
2026年後半も断続的な値上げ続く見通し
帝国データバンクでは、2026年後半も中東情勢や為替動向など外部環境の影響を受けやすい状況が続くと分析する。
9月には約3年ぶりとなる4000品目超の値上げが予定されており、秋が今年最大の価格改定のピークとなる見込みだ。その後も10月を中心に値上げが続き、年間では2万品目規模となる可能性が高まっている。
食品業界では、単発的な価格改定ではなく、コスト変動に応じて断続的に価格を見直す動きが定着しつつある。原油、為替、中東情勢、異常気象といった不確実性が解消しない限り、食品価格の上昇基調は2026年後半も続く公算が大きく、メーカー、流通、小売、消費者のいずれにも厳しい局面が続きそうだ。
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