SNSで友達的な顧客作り
阪急阪神百貨店は、7年にわたり建て替えを進めてきた大阪の阪神梅田本店の第Ⅱ期棟を、10月8日先行オープンする。
9月22日に市内で会見した山口俊比古社長は、百貨店にはトレンドや高級感が求められてきたが、近年は自分充足志向の強まりで変化が見られると指摘。「阪神は普段の生活や個々のニーズに対応する店づくりを進める」と説明した。
大阪梅田には同社の阪急百貨店も存在するが、今回は2店の違いをより明確化する。阪急はこれまで同様に高級ブランドイメージを維持し、トレンドに即応して全国からの集客を狙う。阪神は強みの〝食〟を生かしつつ地元顧客を深耕し、個々のニーズに寄り添う提案を強める構えだ。
阪神が注力するのは、100人のナビゲーター(店員)によるInstagramなどを使ったSNSの発信。友達的な関係作りに努めファン顧客を増やす。店内でもイベントスペースなど50カ所を設置し、客とのコミュニケーションを強化する。
店内では「食の阪神」の強みを生かし、食関連4フロアの面積を約4割拡大(フルオープン時)。地下2階には女性やお一人様でも入りやすい「阪神バル横丁」を新設。地下1階食料品売り場「阪神食品館」はリカーや生鮮、菓子、総菜を販売し来春の全面開業を目指す。
また、1階「食祭テラス」では普段使いを提案し、従来から人気のパンに加え、茶・コーヒーとおやつを大きくコーナー化。英国の老舗紅茶商「リントンズ」の世界初となる常設ショップも登場する。9階のレストラン・フードホール「阪神大食堂」には、フレンチ「リエゾン」や創作中華「空心」など、注目店舗が目白押しだ。なお阪神梅田本店の年商は、730億円(22年度)を計画する。
2021年10月4日付