統合10年で第2ステージ
三菱食品は5月28日、本社で2020年度決算および中期経営計画説明会を開催。新たに指揮を執る京谷裕社長執行役員(6月28日付で代表取締役に就任予定)が中期経営計画の方針を語った。また冒頭あいさつした森山透前社長は、「社長の最も重要な仕事は後任を選ぶこと」と5年間を総括し、京谷社長とガッチリと握手を交わした。
21年3月期連結業績は、主にコロナの長期化に伴う業務用およびCVS業態の不振から、売上高は2兆5776億2500万円(前期比97.1%)。利益面では売上総利益の減少を物流費含む販管費削減で補い、営業利益156億2100万円(101.6%)、経常利益169億1200万円(101.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益110億7700万円(97.1%)。
品種別売上高では缶詰・調味料類(2.3%増)、菓子類(2.9%増)を除きいずれも減少。業態別ではSMが1.8%増の1兆998億円、ドラッグストアが3.3%増の1590億円と好調も、CVSが9.0%減の7833億円と苦戦し全体を押し下げた。セグメント別では加工食品が0.1%増の8058億円とわずかに伸びたが、低温食品7.8%減の9563億円、酒類1.5%減の4859億円、菓子2.3%減の3093億円と軒並み減少となった。
なお、出荷平均ケース単価を今年も公表した。加工食品は冷夏を受けたPET飲料の減少も、家庭内調理増加による調味料がけん引し2268円(10円高)。冷凍食品・アイスクリームは業務用が苦戦して3849円(28円安)。酒類は第3のビール、RTDの拡大から3362円(9円安)。菓子は単価の高いチョコレートの伸びから2255円(13円高)。
21年度業績予想は収益認識に関する会計基準適用を受けて、売上高2兆300億円、営業利益167億円、経常利益180億円、親会社株主に帰属する当期純利益117億円。適用により売上高は約5555億円減少。組み替えた20年度との比較は増収増益を見込む。
11年の経営統合後、4カ年の「中経2015」で整備・再構築した経営基盤を基に、5カ年の「経営方針2020」では事業領域を拡大。そして、統合10年の節目となる今年は3カ年の「中経2023」をスタート。
ウイズ・ポストコロナの中、国内は人口構造の変化、生活者のライフスタイル・価値観の変化、イノベーションも加速し、地域分散型社会へとシフトした。次世代食品流通業への進化、食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する。「三菱食品は第2ステージに入る。バックキャスト型アプローチ」と語る京谷社長は、パーパス(存在意義)を再定義する必要性を強調し、サステナビリティ重点課題の解決にあらゆる経営資源を投下する考えを示した。
リテールサポート、商品開発、メーカー支援、SCMで機能を向上。デジタル活用による業務効率化と需要創造。人財基盤の強化と育成、財務基盤を強化することで経営基盤を変革、デジタル利活用人財を育成する。さらには地域パートナーシップの構築を推進し、23年度に経常利益220億円を目指す。成長領域とデジタル領域に200億円以上の積極投資を計画し、23年度末のROE8%以上を目標とする。
2021年6月7日付