環境問題への配慮はトップブランドの責任・使命
ネスレ日本はプラスチック廃棄物の課題解決に向けた取り組みを加速させる。高岡浩三社長兼CEOは8月1日にネスカフェ原宿で会見し、9月下旬から「キットカット」大袋タイプ5品の外装を紙パッケージに順次切り替えると発表した。
世界ではプラスチック廃棄物が埋立地や海洋に蓄積・汚染し、鳥や魚のエサになるなど危機に瀕している。ネスレグループは世界最大の食料飲料企業として、これらの課題を優先的に取り組むべきと判断。2018年4月に製品の包装材料を25年までに100%リサイクル、あるいはリユース可能にするというコミットメントを発表した。中でも世界のトップブランド「ネスカフェ」「キットカット」への対応が必須と考える。
ネスレ日本では「ネスカフェ」においては瓶、コーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」の詰め替え容器として紙製の「エコ&システムパック」を開発し環境配慮を進める。
そして今回、「キットカット」の外装をプラスチックから紙パッケージに変更する。対象は「キットカット ミニ」(14枚/500円、12枚/300円)、「キットカット ミニ オトナの甘さ」「同 抹茶」(各13枚/500円)、「同 濃い抹茶」(12枚/500円)の5品。紙パッケージに変更することで年間約380tのプラスチック削減が見込まれ、これは「キットカット」における全プラスチック使用量の約3割に相当する。
さらにパッケージの紙を使い「折り鶴」などを作って大切な人に想いを伝えるという、新しいコミュニケーションも開始する。
高岡社長は「紙パッケージにすることでコストは上がるが、それでも実施するのはトップブランドとしての責任であり使命」と言い切る。また「キットカット」の売上の10%強はインバウンド需要であり、世界へのアピールの場にもなる。「流通も環境配慮への関心は高く、変更以降の売上増も期待できる」と自信を覗かせた。
また、今後の取り組みについても説明。「キットカット」は20年9月までに大袋全製品の外装を紙パッケージ化、21年までには個包装もリサイクルしやすい単一素材に切り替える。さらに「キットカット」は22年、「ネスカフェ」は23年までに海洋生分解性素材を視野に100%リサイクル、あるいはリユース可能な包装材料を使用することも明らかにした。
2019年8月12日付