THE FOOD WEEKLY

TOP NEWS 環境 麺類

資源・気候変動対策で環境戦略が始動/日清食品G

投稿日:

30年度までにCO2 30%削減へ

環境戦略強化を語る安藤宏基CEO

日清食品ホールディングスは、環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」(以下EFC2030)を策定。資源の有効活用と気候変動問題への対策の両面で、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指す。安藤宏基社長・CEOが6月9日にMicrosoftTeamsを通じて会見。参加した約40人の記者に向けて、「環境問題は企業にとって当たり前の問題。ポジティブに実行していく」と語り、長期にわたる環境戦略の重要性を示した。

EFC2030では、地球資源を取り巻く環境の保護および資源の有効活用に挑戦する「資源有効活用へのチャレンジ(EARTH MATERIAL CHALLENGE)」と、グループの事業活動全般におけるCO2排出量削減に挑戦する「気候変動問題へのチャレンジ(GREEN FOOD CHALLENGE)」の両軸で取り組みを進める。

資源と環境の両面でアプローチ

EARTH FOOD CHALLENGE 2030始動

資源の有効活用では、「地球にやさしい調達」「地球資源の節約」「ごみの無い地球」の3つ。気候変動問題へは、「グリーンな電力で作る」「グリーンな食材で作る」「グリーンな包材で届ける」の3つを活動テーマに設定した。

具体的には2030年度までに、持続可能なパーム油(RSPO)調達比率100%(現在20%程度)。さらに食品業界ではすでに高いレベルで実現する、売上高100万円(IFRS)当たりの水資源の使用水準は12.3㎥(大手飲料平均20㎥)。廃棄物再資源化率99.5%(15年度比)、イオン主導による食品廃棄物半減プロジェクト「10×20×30」に代表される廃棄物総量50%削減(同)に取り組む。

さらに同社の掲げるCO2削減目標は、国際的なイニシアチブ「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」に4月9日認定された。

グループ内での化石燃料使用による直接排出と、購入した電気や蒸気による間接排出を2030年度までに18年度比で30%削減を目指す。そこではごみ発電電力の使用や工場での省エネ活動、太陽光パネルなどの再生可能エネルギーを調達。18年度のCO2排出量は41.6万t。年率2.4%の事業成長を加味した30年度排出量は53.7万tを想定し、30%削減には29.1万tまで下げる必要がある。

環境負荷が小さい新たな培養肉も開発

さらにバリューチェーンの排出量は18年度306.8万tから事業成長を加味した30年度に396.7万tへと増加を予想するが、これを15%削減する260.8万tの達成を目指す。カップヌードル具材〝謎肉〟に代表される大豆ミートは最も環境負荷が低い。注目の「培養肉」は水資源、土地活用、CO2削減のいずれを取っても牛肉具材を使うよりも環境負荷が小さい。現在研究中の培養肉は、5年後には7×7×2㎝サイズ(現在1×1×1㎝を実現)を実現できる見通しも明らかにした。

そして、カップヌードル容器を21年度中に「バイオマスECOカップ」に全面切り替える。カップヌードル1個の製造に必要なCO2排出量は412g。150gのステーキで2206g、デリバリーピザMサイズのハーフで1876g、ハンバーガー1459g、フライドチキン2ピースで574gとの試算と比較しても圧倒的なエコフードである点を強調。将来的にはメニュー項目にCO2排出量が表記される時代が訪れるとも展望した。

安藤CEOは各種目標の達成には従業員の意識向上に加え、再生エネルギーに対する電力会社の対応も求めた。

2020年6月15日付

-TOP NEWS, 環境, 麺類

Copyright© フードウイークリーWEB|週刊食品 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.