3年間のJRA助成事業が間もなく終了~自主事業へ
全日本・食学会(東京都港区、村田吉弘理事長)は、日本中央競馬会の助成事業として2017年から3年間進めてきた「シェフと支える放牧牛肉生産体系確立事業」の成果発表会を12月2日、キッコーマンライブキッチントウキョウ(東京都千代田区)で開催した。
ホルスタイン以外の乳用種のオス仔牛は食肉としてのマーケットが確立されておらず、わずかに仔牛肉として利用される以外は処分されているのが現状。コストの高い配合飼料を給餌し育てても効率が悪いことから、ジャージー種やブラウンスイス種といった乳用種オス仔牛の有効活用の可能性を引き出すために同事業がスタートした。
10カ月月齢までに高タンパク高脂肪の飼料を給餌して太りやすい体質を作る「代謝インプリンティング」を行い、その後は約18カ月以上にわたって放牧を中心に生体重550㎏以上(枝肉重量300㎏以上)を目指して増やす。育った牛は赤身が多く、脂肪はやや黄みがかった色となるため、栄養価は高いものの市場では価格がつけ難い。しかし、熟成や調理方法で付加価値を高めれば新たな付加価値・可能性につながると見ている。
発表会当日は、栃木県那須郡那須町の森林の森牧場で17年4月7日に生まれたジャージー種オスを宮城県刈田郡蔵王町の蔵王酪農センターで肥育した肉(B2)を使用し、「菊乃井」村田吉弘氏、「ポンテベッキオ」山根大助氏、「クイーン・アリス」石鍋裕氏の3人が自慢の腕を振るって調理した。
この他、岩手県岩手郡葛巻町や東京都八丈島でも生産が進められている。八丈島では助成事業で2頭、さらに自主事業として9頭を保有し、八丈島の新たな産品を目指し、取り組みが進む。
なお助成事業は2020年3月で終了となる。現在14頭を保有するが、助成事業のため販売は出来ない。災害支援等への活用を検討しているが、今後は自主事業を目指しており、スポンサーを募集している。近年、市場では健康志向を背景に赤身肉を好むトレンドが見られる。同事業を通じて新たな価値創出を図っていく考えだ。
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