需要期喚起に向け和牛サミット開催
JA全農は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受ける日本の和牛文化を支援するため、「8月29日は焼肉の日」キャンペーンを8月26日から実施する。初日には都内で「和牛サミット」を開催し、JA全農の齊藤良樹常務理事、ジャーナリストの辛坊治郎氏、和牛の生産者らが和牛の消費拡大に向けた施策を話し合った。
コロナにより焼肉店などの外食需要やインバウンド、海外への輸出量の減少などで和牛相場は2月下旬から大幅に下落。東京市場では4月のA4等級(去勢)は、前年同月比20%安となる2000円/㎏を下回り6年ぶりの低水準となった。それに伴い店頭価格が下がっており、齊藤常務は「和牛を買い求めやすい状況になっている」と指摘。そこでキャンペーンを実施し、改めて和牛の魅力を紹介することで家庭での消費喚起を図る。
まず家庭のコンロやホットプレートを置くと、焼肉の土俵が現れるグラフィック広告「焼肉の土俵」を8月29日付の主要スポーツ新聞に掲出。全農の公式ツイッターでは高級国産和牛が当たるプレゼント企画(8月26日~9月13日)、通販の産地直送ショッピングモール「JAタウン」では国産和牛を特別価格、送料無料で提供する。
齊藤常務は「キャンペーンを通じて和牛を身近に感じてほしい」と語るとともに、「コロナ収束後、インバウンドと家庭内消費の両輪で和牛を一層盛り上げたい」と将来を見据えた。
また辛坊氏は4人の和牛関係者と、今後の取り組みをリモートで討論。生産現場からは小川牧場(長崎県)の小川博信氏が「飼料高騰などコスト増の中、相場の下落で大打撃を受けているが、良質な和牛を生産し続けたい」と訴えると、食肉加工ミヤチク(宮崎県)の黒木博常務は「外食店に卸す高級和牛をネット販売し、地元の高校生には弁当として提供した」と対策を打ち明ける。
外食からはヤザワミートの稲田智己代表が「海外にも出店しているが和牛は世界に誇れる文化。今はテークアウトも展開している」、小売業のコープデリ連合会生鮮調達畜産部小川明彦次長は「和牛の需要は高まっている。宅配事業でも力を入れている」と現状について言及。辛坊氏は「国内消費の底上げに向け、家で和牛焼き肉をする絶好のチャンスだ」と期待を寄せた。
さらに農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課需給対策室の廣岡亮介室長は、国の取り組みを説明。学校給食への利用やふるさと納税、ネット販売、新商品開発に協力することで消費を拡大する。
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