持続可能漁業へ 73%「割高でも購入」
内閣府が9月4日公表した「水産業に関する世論調査」の速報によると、日本近海の海水温上昇により獲れる魚の種類や量が大きく変わってきていることを「知っている」と答えた人が82.7%に上った。水産資源の持続性や環境に配慮した水産物について、73.3%が他の水産物より「割高でも購入したい」と回答。物価高下においても、サステナブルな漁業への対価を容認する消費者の姿勢が浮き彫りとなった。水産政策への期待では「技術開発や操業改革」が71.6%と突出。従来の資源管理にとどまらず、技術革新による攻めの水産業への転換を求める声が強まっている。
◇生態系の激変、食卓に影
近年の記録的な猛暑や海洋熱波の影響で、秋サケやサンマの不漁、日本海や東北沖におけるブリ・フグの漁獲急増など、日本近海の漁場生態系は地殻変動に見舞われている。調査では「海水温上昇と魚の変化」について認知率が8割を超えた。水産業の多面的機能への期待では「持続的な食料供給」(81.0%)が最多で、「藻場・干潟などの環境保全」(60.9%)や「不審船に対する国境監視」(43.8%)にも高い関心が寄せられた。
◇政策期待「技術と操業改革」が急伸
水産政策に対する期待では、「技術開発や操業改革の推進」が71.6%で首位。平成30年9月の前回調査(食と農林漁業に関する世論調査)の47.4%から24.2ポイントの大幅増となった。AIや衛星データを用いた漁場予測、省エネ船の導入、水温上昇に耐えうる養殖品種の開発など、先端技術を活用した構造転換を求める世論が鮮明となった。次いで「資源増殖」(57.1%)、「漁獲量制限」(56.9%)、「違法操業取り締まり」(54.5%)が続いた。
◇「1〜2割高」なら買う 6割
資源管理や環境配慮の表示がある水産物に対する価格許容度では、割高であっても「購入する」と答えた人が合計73.3%。内訳は「1〜2割高まで」が59.5%で最多。「同等価格なら買うが少しでも高くなるなら買わない」は24.0%にとどまり、認証表示が付された魚へのプレミアムを容認する市場環境の醸成が示された。
◇漁村支援「食べて応援」が定着
漁村地域への関わり方では「国産水産物を購入し、消費を通じて支えたい」が74.4%と圧倒的で、「特に関わりたいと思わない」はわずか6.3%。消費者としてできることでも「国産の積極的購入」(65.0%)に加え、「冷凍・加工水産物の利用による魚食機会の拡大」(63.7%)が高率となった。
※調査対象:全国18歳以上 3,000人/有効回収数:1,522人(回収率50.7%)/郵送法/内閣府速報(水産業に特化した世論調査としては初)
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