製造DX事業に参入し現場の知見を外部展開

「Totonoworks」を利用した作業イメージ
雪印メグミルクは9月2日、初の製造業向けDXサービス「Totonoworks(トトノワークス)」の販売を開始した。同日、本社(東京都港区)で記者説明会を開き、未来づくり部長の堀成輝常務のあいさつに続き、プロジェクトリーダーで海老名工場長の柊拓志氏が取り組みの背景とサービス概要を説明した。自社工場の製造現場で培った改善ノウハウをデジタル化し、食品製造業を中心に社外へ展開する新規事業で、作業の抜け漏れや判断ミスなどのヒューマンエラーを防ぐとともに、作業者の負担軽減、人材育成、生産性向上を支援する。
■現場の知見を社会課題の解決へ
堀常務は事業化の背景について、「当社は経営計画『Next Design 2030』で、取り組むべき重要課題の一つとして『食の持続性の実現』を掲げている」と説明。2024年4月に設置した未来づくり部について、「既存事業の枠にとらわれることなく、新たな価値の創出とイノベーションを推進する組織」と位置付けた。その上で、「当社が長年培ってきた技術や知見、そして現場で働く社員一人ひとりの経験を、これまでの事業の中だけにとどめず、社会課題の解決に生かしていく」と強調。「Totonoworks」は、こうした考えから生まれた新規事業となる。

堀常務

海老名工場長の柊氏
■「人が人をカバー」からデジタルへ
開発の原点は、18年頃から海老名工場で進めてきたヒューマンエラー対策。柊氏は、従来の現場では「人が人をカバーする」形で、ダブルチェックやチェック項目を増やすことでミスを防いできたと説明する。一方、「人がやることにはどうしても間違いが発生してしまう」とし、デジタルによって人が判断していた部分を置き換える取り組みに着手した。複数工場へのヒアリングなどを通じてリスクの高い工程を洗い出し、約2年間の運用・改善と社外での小規模実証を重ねて事業化に至った。自社工場では、ヒューマンエラーの削減や教育・訓練時間の約50%短縮などの効果を確認している。
■「確認・記録・判断」をデジタル化
「Totonoworks」は、製造現場の作業手順と記録業務を一体化し、作業者を正しい手順へ導くデジタル日報サービス。柊氏は「『Totonoworks』で実現したいことは、ミスを未然に防止し、作業者の負担を軽減することで、製造現場で働く人々が迷いや不安なく、安心して作業できる環境を整えること」と説明した。従来、作業者が紙の日報を見ながら確認し、手書きで記録し、頭で正しいかを判断していた作業を、タブレット上で誘導・自動記録・判定する。特に原材料の計量・投入では、原材料名やロット、使用期限などをQRコードで読み取り、正しい材料かどうかをデジタルで判定する仕組みを構築している。

販売開始時の「Totonoworks」アプリ機能提供範囲
■心理的負担の軽減にも
導入効果は作業効率だけにとどまらない。柊氏によると、導入当初は紙の日報からタブレットへ移行することにネガティブな反応もあったが、利用が進むにつれて、「判断を人に頼らなくてよいことで心理的な負担が軽減された」という声が現場から聞かれるようになったという。「家に帰ってから、チェックを忘れたのではないかと思い出すことがなくなった」という声も寄せられた。また、電子化した日報をデータベースとして蓄積することで、現場改善につなげられる点もメリットとして挙げる。

実際の現場
■10月から商談、27年春に機能拡張
導入に向けては、26年10月から乳業・食品製造業を中心に商談を開始する。まずは現在実装している「計量・投入」工程の日報アプリを中心に導入を進め、現場での実績や知見を蓄積。その上で、27年春にかけて充填や稼働管理など対応工程・アプリ機能を順次拡張し、販売を広げていく計画だ。さらに数年後をめどに対象顧客セグメントとアプリ機能を拡大し、食品製造業にとどまらず、幅広い製造業の生産性向上を目指す。導入時には同社の現場経験者が現場調査から設定、レクチャー、定着まで伴走する。柊氏は「現場で試行錯誤しながら作り上げたメンバーだからこそ、こうした支援ができる」としている。
「雪印メグミルク」コーポレートサイト
https://www.meg-snow.com/
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