製造能力1・5倍で伸長が続く需要に対応
ポッカサッポロフード&ビバレッジは10月10日、8月に竣工した仙台工場(宮城県名取市手倉田字八幡310-1)においてスープ事業戦略説明会を開催。併せて最新設備を導入した工場内部を公開した。
仙台工場はグループのサッポロビール仙台工場内に26億円を投じ建設。近年、少人数世帯の増加等を背景に需要が拡大しているカップ入りスープの専門工場として、8月28日から稼動した。延床面積は3200㎡、最新技術による粉末スープの造粒、カップへの充填工程の1ラインを有し、生産能力は年間160万c/s(1c/s=24個)。既存の名古屋工場、群馬工場、磐田ポッカ食品の工場と合わせ、生産能力は従来の1.5倍に増強。
ビールとスープを同じ敷地内で製造する業界初のハイブリッド工場として、社会、環境活動にも注力する。ユーティリティ設備の共有により、既存工場に比べCO2排出量は約10%削減され、ビール、スープの製造技術の融合も進める。雇用創出や東北応援、幅広い世代への食育活動にも利用していく。
スープ食品事業部の黒柳伸治部長は主力ブランド「じっくりコトコト」の戦略を説明。同ブランドは「あなたの毎日をUPGRADEする、濃厚とろ~りなコク深スープ」をコンセプトに、箱入り、カップ入り、缶入り、レトルトタイプを展開する。
スープ市場は現在1240億円と見込まれ、過去20年で1.9倍に拡大した。中でも近年はカップ入りスープの伸長が著しい。同社では2002年から大きめのパンを入れた「こんがりパン」シリーズが順調な売れ行きを見せ、「じっくりコトコト こんがりパン コーンポタージュ」はカテゴリー№1として市場を牽引する。
今秋カップ入りスープ「じっくりコトコトこんがりパン」シリーズから、「GRANDE 濃厚チーズフォンデュ風ポタージュ」「同 クリームシチュー風ポタージュ」「1食分の野菜 ほうれん草チャウダー」「同 チキンと野菜のチャウダー」「じゃがバターポタージュ」の5品を新発売。「リゾランテ芳醇きのこチーズリゾットカップ」「辛王 激辛煮干スープカップ」も追加した。
カップ入りスープが主に女性のランチ需要を捉えている要因について、黒柳部長は「濃厚、具沢山な食感が支持され、これ1個で食事として満足できる」と分析。仙台工場ができたことで安定供給体制も整い、需要期に向けフル生産を行う。「今後はユーザー拡大に向け、シニア層へのアプローチ強化、『じっくりコトコト』の東北での認知拡大を目指す」と未来を見据える。
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