発酵性食物繊維の食品摂取でイキイキ「腸活」
医師や専門家などで構成される発酵性食物繊維コンソーシアム主催の腸活セミナーが8月28日に行われ、「発酵性食物繊維」に関わる調査研究結果や最新情報、健康増進などに役立つ食事摂取法などが発表された。
健康の維持増進や疾病の予防改善に欠かせないといわれている、腸内細菌の「善玉菌」。
この善玉菌の全体数や良好状態を保つため、エサとなる食物繊維が必要不可欠であることが近年判明。
そのため不足しがちな食物繊維を効率的に摂取しようとする、国を挙げての「腸活」が推進されている。
今年3月、日本人が取るべきエネルギーや栄養素の基準量を定めた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が公表された。
国民の健康保持・増進を図ることを目的に厚生労働省が5年毎に改定しているもので、2020年版ではこれまで以上に、肥満をはじめとする生活習慣病の発症予防の重要性が示された。
そのため、生活習慣などの予防改善に役立つ食物繊維の1日の摂取目標量(成人)は男性21g/日、女性18g/日とされた。
ただし、本来であれば24g/日とすべきところを「実際の平均摂取量14g/日と理想値との中間にした」としており、日本人の食物繊維不足が深刻化していることを裏付けている。
食物繊維には水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」があり、善玉菌のエサとなるのは不溶性食物繊維。野菜・果実・豆類・いも類・きのこ類など多くの食品に含まれているが、食物繊維コンソーシアムでは、穀類から取るのがより効率的であると提唱。不溶性の含有割合が高く、主食であるため多く容易に摂取できるからだ。
中でも注目しているのがオーツ麦や大麦・もち麦・玄米などで、これらの食品は「発酵性食物繊維」と呼ばれている。
発酵性食物繊維は、ヨーグルトや納豆などの発酵食品とは異なり、善玉菌のエサとなる食物繊維が発酵(分解)しやすい食品のこと。食物繊維が腸内発酵されることで、はじめて疾病予防などに効果を発揮する。
実際に、発酵性食物繊維コンソーシアムのメンバー医師である京都府立医科大学消化器内科学教室の内藤裕二准教授による京都丹後地域住民と京都市内在住者との比較調査結果では、発酵性食物繊維食品を日常的に多く取っている丹後地域住民の方が腸内細菌(善玉菌)の数や種類が多く、健康長寿者も多い。発酵性食物繊維が腸内環境を改善し、免疫力アップや疾病予防に役立っていることが分かった。
また、同じく発酵性食物繊維コンソーシアムのメンバーである大妻女子大学家政学部食物学科の青江誠一郎教授によると、発酵性食物繊維は毎日3食で取るのが望ましいが、特に意識して取るべきなのは朝食。大麦などが原材料のシリアルにヨーグルトと果物などをプラスするのが理想的。
こうした食事を日々取ることで、整腸作用のほか血中コレステロール・血糖値・内臓脂肪低減など、さまざまな健康効果が確認されているという。
左:京都府立医科大学消化器内科学教室 内藤裕二准教授
右:大妻女子大学家政学部食物学科 青江誠一郎教授
公式サイト
http://fermentable-dietary-fiber.jp/index.html
WEB先行記事