THE FOOD WEEKLY

食の挑戦 冷凍食品

冷やし中華がヒット/ニチレイフーズ~食の挑戦⑤~

投稿日:2023年2月13日

個食需要に大きな可能性

マーケティング部
田口 祐二氏

昨年、山形工場に専用ラインを新設しパーソナルユース商品の本格的な強化に乗り出したニチレイフーズ。第一弾「冷やし中華」は、大きな話題を呼び幸先のいいスタートを切った。家庭用、業務用の垣根を越えた一大プロジェクトとして、マーケティング施策を統括する、マーケティング部マーケティンググループリーダー兼パッケージンググループリーダーの田口氏に現状と今後について聞いた。

―パーソナルユース商品強化の背景について。
冷凍食品は、高齢化社会、女性の社会進出、少人数世帯の増加を要因に伸長を続けてきたがコロナ禍で加速した。特に在宅勤務が定着したことで、主食系の一食完結型商品の人気が高まった。
食事形態においても、個々人で喫食時間や場所、味・メニューの嗜好が異なる場面が増え、家族であっても別々に食事を取るケースが増えている。ソロキャンプなど、いわゆる〝お一人需要〟も認知され、パーソナルユース、個食に対する考え方もポジティブになってきている。
こうした社会変化を捉え、パーソナルユース商品に大きなチャンスがあると考えた。山形工場のリバイバルのタイミングとも重なり、約40億円を投じ製麺機を有する専用ラインを新設した。

―「冷やし中華」がヒットしました。
パーソナルユース商品第一弾として、インパクトも求められた。「冷やし中華」は、電子レンジにかけても氷は溶けにくいという特性を生かし、加熱しても冷たい料理が出来上がる。多くのメディアに取り上げられ、3月の発売から半期で200万食を突破した。5年前から構想していた商品で、大きな反響が得られてうれしい。その後も9月に「極太つけ麺」、今年1月に「カレーうどん」を発売し、上々の売れ行きを見せている。
その他にも、昨秋発売した「極上ハンバーグ」やトップシールなどの食事・おかず類、「今川焼」ではワンハンド・スナック類のパーソナルユース需要を取り込む。

―業務用にも力を入れています。
昨秋からハンバーグ、チキンステーキと自家製パスタをアソートしたワンプレート商品を展開。外食、中食、福祉給食など各業態では慢性的な人手不足が悩み。そこでパーソナルユース商品を活用すれば、人手をかけず繁忙期でもすぐに、無駄なく提供でき、3つのロス(タイムロス、食材ロス、チャンスロス)を解決できる。調理設備が小さな複合カフェなどでも採用され、手応えを感じている。
今春は「トレーで簡単cook!」シリーズを立ち上げ、「ボロネーゼ(生パスタ使用)」など6品を発売する。業務用は、各業態のニーズに即した商品開発を進めることが重要だと考える。

―今後については。
山形工場の専用ラインをフル活用する。様々なパーソナルユース商品に柔軟に対応するフレキシブルな作りになっており、製麺技術を生かしつつ、関西工場、船橋工場などで生産した商品とのアッセンブルも可能。
今年度のパーソナルユース商品の売り上げは230億円を見込む。2024年度には300億円を計画するが、それ以上を目指す気持ちで挑む。全業態に向け意欲的な商品開発・提案を積極的に仕掛け、新たな価値を付与した商品ラインアップで、市場でも存在感を高めたい。

2023年2月13日付

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