「好きなものを野菜と食べる」を新しい食文化へ
キユーピーは8月6日、「withベジタブル戦略」を発表した。サラダを中心に食文化を育ててきた同社が、新たな成長戦略として掲げるもので、「好きなものを野菜と一緒に楽しむ」新しいライフスタイルの定着を目指す。
同社では2030年に向け、「世界のお客様の心と体の健康に貢献する」ことを経営の柱に掲げている。その価値創造の中核を担うのが「サラダ」。これまでマヨネーズやドレッシング、惣菜サラダ、パッケージサラダなどを通じ、日本のサラダ文化を築いてきたが、近年は野菜摂取量やサラダ喫食数の減少が課題となっている。
厚生労働省の目標である1日350gに対し、実際の野菜摂取量は約258gと約100g不足。キユーピーの調査でも、野菜摂取を意識している人は7割を超える一方、十分に食べられていると感じる人は約35%にとどまり、「意識しているのに食べられない」というギャップが浮き彫りになった。

そこで打ち出したのが「withベジタブル戦略」だ。
健康のために我慢して野菜を食べるのではなく、唐揚げやカレー、パンなど、好きな料理と組み合わせることで、無理なく自然に野菜を取り入れる食スタイルを提案する。「サラダをポジティブな食へ変える」ことが狙いだ。
戦略は二つの柱で展開する。
一つは、主食や主菜と野菜を一皿にまとめる「一体化」。もう一つは、普段の食事にサラダを添える「プラス1品」である。グループ各社の事業を横断しながら、家庭用、業務用、中食、外食のすべてで展開していく。

キユーピー 上席執行役員業務用市場統括担当 北川岳史氏
すでにアンデルセンとはパンと野菜を組み合わせたメニュー、福島市とは納豆とキャベツを組み合わせた「ごまっ豆サラダ」、デニーズとはメイン料理に野菜を組み合わせる取り組みを進めており、企業や自治体との共創も広げる。

発表会では、野菜料理家の西岡麻央氏と共同開発した「濃厚旨辛ポークボウル」「爽快サーモンボウル」も披露した。米国で広がるボウルサラダや、多彩な酸味を取り入れた最新トレンドを反映したメニューで、9月18日から「デリコメール グランスタ東京店」と「デリコメール エキュート日暮里店」で期間限定販売する。西岡氏は「好きなものを楽しみながら野菜も自然に食べられるメニューを目指した。酸味によって最後までおいしく食べ続けられる工夫を取り入れた」と開発の狙いを説明した。
酸味が主役の贅沢サラダボウル サーモンとプルドポークの2品を期間限定販売/キユーピー

武蔵野大学ウェルビーイング学部長前野隆司教授と、野菜の料理家西岡麻央氏
また、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授を交えたトークセッションも行われた。前野教授は「健康のためという義務感ではなく、自ら食べたくなることが幸せにつながる」と指摘。サラダを食べた人の方が幸福感(ウェルビーイング)が高まる傾向が見られたという共同研究にも触れ、「サラダは短期的な満足だけでなく、長く続く幸福感につながる食べ物。『withベジタブル』はその価値を広げる取り組みになる」と期待を寄せた。
これに対し北川岳史上席執行役員は、「これまで『野菜を食べましょう』という義務感を生活者に与えていた面もあった。これからは『好きなものを野菜と食べる』という新しい当たり前を社会に広げ、サラダをもっと前向きで楽しい食へ変えていきたい」と語り、商品提案にとどまらず、新たな食文化の創造を目指す考えを示した。

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