大手4社が共同会見 持続可能な物流目指し宣言
日本ハム・ソーセージ工業協同組合と業界大手4社は、12月1日にホテル雅叙園東京で合同記者会見を開催。2024年問題をはじめとした物流課題の解決に、大手が連携し率先して取り組むことでハム・ソー物流の最適化を図る。
4社は「SDGsへの貢献と持続可能な物流のための食肉加工業界取り組み宣言」を発表。宣言企業は伊藤ハム米久ホールディングス、日本ハム、プリマハム、丸大食品。
政府が6月2日に公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」を受け、組合は自主行動計画を11月21日に農林水産省へ提出。大手4社は計画の中で特に緊急性の高い取組みを配送・販売関連業界と連携し、SDGsにも配慮した持続可能な物流体制を目指す。取り組みの骨子となるのは次の3点。
①配送ドライバーの負荷軽減=大手は製造卸という業態のため、かつて店舗に直納していた時代には、配送以外の商品値付け作業や店頭への品出しを行っていた。この商習慣は現在の物流企業のドライバーに引き継がれている。こうした付帯業務を見直し、配送の生産性を高める。
②納品条件の見直しによる効率化=物流の平準化と共同配送の実現に向け、納品リードタイムは2日以上に変更、新商品・特売品の計画発注化、365日納品とピース納品の見直し、総量納品化の推進などによりサプライチェーン全体の効率化を図る。
③共同配送の推進=温度帯が同じ他の荷主事業者との連携や物流事業者への積み合わせ輸送の実施、中継地点で在庫の一定保管の体制構築など、業界内外での共同配送を推進。
取り組みは来年4月から開始する。具体的な目標数値は設定していないが、政府によるトラック輸送能力が24年度に14%、30年度に34%減少する見通しに対応する。ハム・ソー物流におけるドライバーの作業時間は合計9時間程度で、うち品出しなど付帯業務が4時間を占めるケースもあり、これを半減させる。
共同配送は得意先との交渉もあり、数年かけて理解を求める構え。対象品目はハム・ソーが中心だが、各社が扱う同じ温度帯の加工食品も含む。生鮮食肉は温度帯が異なるためケースバイケースで判断する。これに合わせた新たな物流拠点については、現時点での計画はないが取り組みが進んだ際には検討する。なお、組合は4社が行動計画を実践することで、120社近い加盟企業の自主的な参加を期待したいとしている。
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今回の会見では、大手が率先して宣言することで、国の物流問題の改善依頼にひとまず答えた格好。大手は9割以上がセンター納品であり、ドライバーの付帯業務時間やその内容も各社によって異なる。個社ごとに取り組む場合もあるが、付帯業務の半減は業界全体の大きな課題であり30年までの必達目標と位置付けて改善を急ぐ。
また中小の組合加盟社は卸業を活用しており、組合の自主行動計画にどのような判断を示すのかはこれから。業務用については大手も含め卸業を通した販売を行っており、当面は小売業の理解をどこまで得られるのかが取り組みのポイントとなる。
2023年12月11日付