既存・新規事業を加速
日清食品は1月13日に専門紙記者とパークハイアット東京で会見し、安藤徳隆社長が2023年方針を発表した。2015年の社長就任から掲げる「100年ブランドカンパニーへの挑戦」(既存事業の深化)と、「Beyond Instant Foods」(新規事業の探索)を今年もスピードを上げて取り組む。
昨年は6月の価格改定を受けて、即席麺の経済性を改めて訴求する店頭販促と、付加価値を高める商品開発を推進。〝コスパ最強!〟をPOP訴求した店頭販促は全国で3千店舗に及び、平均で約3割の販売増を達成。「カップヌードル」では〝8種の追い具材〟のプレゼント企画を約1.1万店舗で実施。「日清のどん兵衛」では人気アニメ「SPY×FAMILY」とのコラボレーション企画。8月には恒例のチキンラーメンバースデー販促。9月からは「カップヌードル」史上最大規模となる「カップヌードルクエスト プレゼントキャンペーン」を今月末まで実施しており、売り上げ増加効果を5%と分析する。
付加価値施策としては「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質」シリーズが高いリピート率を維持し、計画120%での着地を見込む。さらに「日清の最強どん兵衛」も177%、発売直後から話題を呼んだ「0秒チキンラーメン」は250%。いずれも既存商品とのカニバリを最小限に、ブランドの底上げにつなげている。
これらの施策や19カ月連続首位を続けるCM好感度等も効果的で、「カップヌードル」は6期連続、「日清のどん兵衛」は8期連続で過去最高売上の更新を見込む。「日清焼そばU.F.O.」も21世紀に入り過去最高売り上げ、「カレーメシ」は、ついに100億円ブランドまで成長を遂げた。
今年は主力の「カップヌードル」「日清のどん兵衛」をはじめ、袋麺では発売65周年を迎える「チキンラーメン」、60周年「日清焼そば」、55周年「出前一丁」といった安心感があるブランドの訴求を強化していく方針。3食以下の袋麺カテゴリーではフルライン化も図り、「カップヌードル」「日清のどん兵衛」「日清焼そばU.F.O.」の売上更新を狙う。
一方、新規事業ではパッケージフード「完全メシ」シリーズの拡充も予定する。発売から累計600万食を売り上げ、昨年9月には全国展開。大手ECサイトでは上位人気を獲得し、自社オンラインストアでのリピート率は30%(冷凍食品は20%)と高い反響を呼ぶ。今後はラインアップの充実に加え、社員食堂等での自動販売機展開も視野に入れる。
こうしたパッケージフードの展開に加え、社員食堂、スマートシティ、海外展開など、「栄養最適化テクノロジー」を駆使した多面展開を描く。安藤社長は「新規事業は人員、研究・開発、生産を含め体制強化を進めている。将来的には既存事業と新規事業が融合していくイメージ」と近未来ビジョンを示し、おいしさはそのままに栄養素が最適化された「カップヌードル」の開発も進める。
2023年1月30日付