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消費拡大で酪農支援/乳製品市況

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発酵乳の機能性に高需要

ヨーグルト売り場

新型コロナウイルスの影響で需要が急増している商品の一つが乳酸菌入り食品だ。その中でもヨーグルトは、新型コロナウイルスに関する報道や折からのマスク不足も重なり、免疫力アップなど感染予防効果が期待できる食品として注目を集めている。

免疫力を高めようという自衛の動きを受け、1月末から機能性商品を中心に徐々に需要が高まり、2月単月は前年比2桁増の伸びを示し、3月以降も高止まりが続く。4月も休校措置の継続やテレワークの推進による巣ごもり需要により、特に大容量タイプのプレーンや4Pなど連物商品群の需要を押し上げている。国内のみならず、世界規模で感染拡大の終息が見えない持久戦の様相を呈しており、幅広い世代で予防意識がさらに高まったことも、ヨーグルトの継続摂取の追い風になっていると見られる。

これまでヨーグルトは、インフルエンザや花粉症対策、腸内フローラの改善効果などが期待できる食品として認知され市場を拡大してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、身近な食品で免疫力をアップさせ、健康を維持しようという自衛意識が高まったことで、改めてヨーグルトの持つ健康価値が見直されたかたちだ。

家庭用乳製品の販売が好調な一方、休校による学校給食向け牛乳のキャンセルや商業施設の休業などによる消費減少を受け、業務用向け需要は大幅に減退。新型コロナウイルス感染症まん延に伴う緊急事態宣言の対象地域拡大により、学校給食や外食産業における牛乳・乳製品消費のさらなる減少が懸念される。その中で、これまでは生乳をバターやチーズといった乳製品へと加工することで、行き場のない生乳が出ないよう、生産者団体と乳業メーカー、行政が一体となった取り組みが行われてきた。

しかし、4月7日の緊急事態宣言(7都府県)やそれに伴う休業要請を境にカフェやレストラン、百貨店などで業務用の牛乳やクリームといった乳製品の需要が急減。業務用需要の減少をカバーすることが困難な状況の中、北海道の生乳生産量が6月のピークに向け増加していくタイミングと重なることから、乳業メーカーの製造能力を超え余った生乳を破棄せざるを得ない状況に陥る恐れも出てきている。

農水省ではこのピークを乗り切ることが重要と捉え、牛乳やヨーグルトを普段より1本多く消費することを推進し、酪農家を支援する「プラスワンプロジェクト」を4月21日から開始。生乳の廃棄や乳牛を減らすことなく、生産のピーク時期を乗り切るため、「日本の牛乳を救う『プラスワンプロジェクト』」と題したメッセージ動画をYoutube公式チャンネルで公開。買い物の際に牛乳やヨーグルトを普段より1本多く購入することを消費者に呼びかけている。

日本乳業協会では同プロジェクトの取り組みの一環として店頭POPを作成。会員メーカーと都道府県協会へ配信し消費者への周知を図る。

また、同協会では学校給食用牛乳の供給停止に伴う需給緩和対策事業(学校給食用牛乳処理対策事業)実施要領を制定。学校給食用牛乳の供給が停止される前に製造された学校給食用牛乳について、やむを得ず廃棄物として処理するために必要な経費を補助する。

事業対象者は同協会の会員または傘下会員で学校給食用牛乳の供給を行う乳業者とし、実施要領に従い関係書類を同協会に提出。書類の提出にあたり、窓口の企画・広報部に電話またはメールなどで個別相談も可能。

2020年5月11日付

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