2019年は「女性層」獲得で消費刺激
日清食品は2019年基本方針説明会を1月17日、東京・新宿のパークハイアット東京で開催。安藤徳隆社長は100年ブランドカンパニーへ進化するために必要な戦略ターゲット「若年層」「シニア層」「女性層」のうち、次年度は「女性層」に向けたマーケティングを強化するほか、2020年度には「カップヌードル」ブランドで売上高1000億円突破を狙う考えを示した。
同社は17年に次世代のロイヤルユーザー育成を図るため、若者に向けたプロモーションを強化。数々のメディア施策で話題を呼び、CM好感度は過去36カ月で1位を29回獲得するなど圧倒的な存在感を見せてきた。その効果もあって、主力ブランドにおける若年層の喫食率は「カップヌードル」108%、「日清のどん兵衛」109%、「日清焼そばU.F.O.」120%、「チキンラーメン」114%など、いずれも高いスコアをマーク。安藤社長は「狙い通り」と手応えを語った。
また、18年はロイヤルユーザーのリテンションを図るため、今どき「シニア層」へのアプローチに着手。新商品「お椀で食べる」シリーズは生産が追い付かないほどのヒットで、低迷が続いた袋麺市場のリフトアップに貢献。「あっさりおいしいカップヌードル」は、あっさりスープに量も控えめ、女性にもちょうど良いサイズ、手頃な価格が好評を得た。「カップヌードル リッチ」は、より良いものをしっかり食べたいというニーズに応えた。「カップヌードル 味噌 ミニ」、「日清 THE NOODLE TOKYO AFURI 柚子塩らーめん mini」のミニカップも非常に売れ行きは好調だ。
さらに、創業ブランド「チキンラーメン」は過去最高売上を目指した。60年もの歴史を持つ商品だけに普通のマーケティングでの達成は難しく、「チキンラーメン アクマのキムラー」を新たに投入するなどブランドコミュニケーションを実行。その結果、間口(食べた人数)で119%、奥行き(食べた回数)は108%の拡大。新規ユーザーを獲得した上に、喫食回数も増やすことに成功した。
それにより5年ぶりに袋麺市場が活性化、カップ麺市場も4年連続で過去最高の総需要に達する見通しだ。
こうした流れを受けて19年度は「女性」の消費インサイトを分析、マーケティングを展開する。同社が数年前から進めた調査で浮かび上がってきた消費のキーワードをもとに、即席麺等の商品開発や、CM、SNS等のプロモーションを結び付けていく。中でも強化するのは「カップヌードル」ブランド。
カップヌードルは主力4品「カップヌードル」「同 シーフードヌードル」「同 カレー」「同 チリトマトヌードル」の非常に高い店頭カバー率と販売実績が強み。これに続く「同 欧風チーズカレー」「同 しお」と、4月1日発売の「同 味噌」(内容量83g/麺60g、180円)=写真=を含めた3品を〝NEXT STANDARD〟と位置づけ、今春からテレビCMを展開。そして上位7品を強力に推進することで、カップヌードルブランドの19年度売上高1000億円突破を目指す。
安藤社長は現在のカップヌードルの売上高について、「すでに8~9合目に達している。増税時期など外部環境次第だが、19年度中の達成も可能では」と手応え。4月1日から〝カップヌードル万博〟と銘打った店頭販促プロモーションを展開予定。各ブランドも消費者とのコミュニケーションを確実に進めながら、過去最高売上の達成に向けて取り組む。
また、即席麺消費を取り巻く環境については、「増税に伴う価格の表示問題など色々難しい要素もあるが、昨年のような気候や自然災害の影響が気になる」との見方を示した。
なお、「カップヌードル 味噌」の開発には、消費者からレギュラーサイズの商品化要望が数多く寄せられ、「間違いなく売れる」と判断。昨年発売したミニタイプは、すでにカレーミニを上回る勢いにある。おむすびのお供や味噌汁代わりに好評で、〝おむすび〟との相性の良さがSNS等でも話題だったことを受けて、新商品のパッケージには〝カップヌードルの中でおむすびに合うランキング第1位〟を表記している。
2019年1月28日付