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カップヌードル50周年へ全力施策/日清食品

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2021年度基本方針

日清食品の安藤徳隆社長=写真=は1月14日に専門紙とオンライン会見し、2021年基本方針を説明した。発売50周年を迎える「カップヌードル」、45周年「日清のどん兵衛」「日清焼そばU.F.O.」の基幹ブランドを軸に強力なマーケティング戦略を打ち出す。〝100年ブランドへの挑戦〟が続く。

1971年9月18日に世界初のカップ麺として誕生した「カップヌードル」は昨春、〝国内年間売上高1000億円ブランド〟(消費者購入ベース)という新たな称号を手にした。
4期連続過去最高売り上げの更新が期待される今期は、①定番強化②ブランドワールドの拡大③ブランドとしてのニュース発信のマーケティング戦略を展開した。

〝四天王〟と位置付ける「カップヌードル」「シーフードヌードル」「カレー」「チリトマトヌードル」に加え、「欧風チーズカレー」「しお」、そして大ヒットした「味噌」の3品を〝Next Standard〟とした定番アイテムが充実。新具材〝ほぼイカ〟(かまぼこ加工品)を開発し昨年10月にリニューアルした「シーフードヌードル」は、ユニークなCMも話題となり販売は好調。具材を起点としたブランド戦略が功を奏した。さらに8番目の定番を狙う「旨辛豚骨」(昨年8月発売)も順調で、初年度は計画比120%の着地が見込める。

本場タイのトムヤムクンの味わいが好評で14年の大ヒット商品「トムヤムクンヌードル」を中心としたエスニックシリーズは、昨年9月に「世界のカップヌードル」シリーズとして一新した。

さらに営業面では店頭での「棚一本カップヌードル化提案」を強化し、秋冬に実施した2000店舗では定番売り上げが約2割上昇した。強力なブランド力による売り場効率に小売業からも高い評価が続々。次期はさらに1000店舗増やし3000店舗での実施を計画する。

吉岡里帆、星野源を起用したCM(17年~)の世界観が好評の「日清のどん兵衛」も6期連続で過去最高売り上げが期待される。19年3月に麺の上に卵を乗せやすい〝月見ポケット〟を採用した「天ぷらそば」、ふっくらしたおあげが特徴の「きつねうどん」は、ともに品質面を訴求するCMを展開。さらに20年9月には東日本向け「きつねうどん」で、近年のだし文化が東西で嗜好の差が少なくなってきたことを受け、しょうゆ感を少し下げかつお系だしを強める味わいにリニューアルするなど、品質訴求を継続している。

さらに11月に発売した限定品「限定プレミアムきつねうどん 史上最もっちもち麺」は、調理時間8分の話題性と高い品質から、コロナ禍で来店客数が落ち込むコンビニ店頭でも、通常のどん兵衛新商品よりも約2倍の週販を記録した。今後も品質へのこだわりを発信していく。

一方、コロナ禍で好調な販売が続く袋麺市場だが、長期的には世帯人数の減少や個食化の進行、嗜好の細分化から、5食パックだけでは全てのニーズに対応できないと予測。その5食パックでカバーしきれない消費者ニーズに応える〝PRIME袋めん〟戦略が順調に進んでいる。

17年9月の発売以来、少し食べたい時、もう一品欲しい時などに便利な3食入り「お椀で食べる」シリーズはシニア層を中心に好評。テレビCMも話題となり今期も2桁伸長が続く。チキンラーメン発売60周年となった18年4月に、SNSやネットで話題のアレンジレシピを商品化した「チキンラーメン具付き3食パックアクマのキムラー」は若年男性の心をガッチリつかんだ。また、ガッツリ系ラーメンが家でも食べられる箱入りのラーメンセット「豚園 背脂醤油豚ニンニク」(20年3月発売/1食)は、男性層から支持を集めた。

逆に若年女性層をターゲットとした「日清旅するエスニック 2食パック」(20年9月発売/2食)は本場のおいしさを追求し、いつでも旅気分が楽しめることで人気。さらに「日清ご褒美ラ王」(19年9月発売/2食)は、毎日頑張る主婦層にプチご褒美を楽しんでもらう意味が込められ販売も好調だ。

そして昨年は、郊外型ラーメンチェーンの濃厚な味わいを完全再現。令和の若い家族層をターゲットにした3食入り「日清これ絶対うまいやつ!」3種を9月に発売。発売から3カ月で計画比280%と好調な出荷が続く。その他にも、子どもに野菜を食べさせたいと願う若い母親層に向けた「チキンラーメン キャベサラダ あっさり香味醤油味 3食パック」(20年8月発売)も計画比240%と好調だ。

基幹ブランド強力な展開へ

メモリアルイヤーとなる基幹3ブランド

昨年6月30日に株価9600円を付け時価総額1兆円を達成。今期は、グループの5カ年経営計画最終となる。グループ通期業績予想を1月5日に上方修正し、売上収益5000億円(前期比106.6%)、売上利益530億円(128.5%)、親会社の所有者に帰属する当期純利益375億円(127.9%)を発表した。

21年度は「カップヌードル」50周年に当たり商品開発、各種プロモーションを多数準備。棚一本カップヌードル化もさらに推進していく。「カップヌードル」を通じて環境、防災、健康などのあらゆる課題に取り組む〝DO IT NOW!〟プロジェクトも加速するなど、「カップヌードル」売上高の過去最高を目指す。45周年「日清のどん兵衛」「日清焼そばU.F.O.」は、カテゴリーナンバーワンを改めて訴求。PRIME袋めんでも新商品開発を強化する。その他、即席カップライス「日清カレーメシ」も100億円ブランドが視野に入る。

新価値の提供も進む。世界で唯一、ヒアルロン酸を作らせる機能が特許として認められた同社独自の「ヒアルモイスト乳酸菌」を、従来品に比べて5倍以上も贅沢に配合した「ヒアルモイストW+ホワイト」を20年8月に発売。11月に発売した「トリプルバリア」は脂肪と糖、塩分の便への排出を助ける。同社の機能性表示食品としては初となるテレビCMも入れて、近々に販路を拡大する計画。

他にも〝伝説のライブハウス〟が再始動した。昨年11月に東京本社地下に「日清食品POWERSTATION[REBOOT]」がオープン。リアル、バーチャルを含めたアーティストが出演し盛り上げている。

安藤社長は「今年もたくさんの面白いことをやっていく。期待してほしい」と攻めのスタンスを強調した。

2021年1月25日付

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