合計5000人超が来場し盛況に
日本ハムは1月15・16日にザ・プリンスパークタワー東京で、22・23日にはホテルニューオータニ大阪で「2025年ニッポンハムグループ商品・販促説明会」を開催。来場者数は東京会場3542人(前年比+134人)、大阪会場1945人(+137人)の合計5,487人(+271人)が集まり盛況となった。
日本ハム単体の新商品は合計20品目(ハム類3、加工品17)と控えめに見えるが、グループ各社の商品や次世代に向けたチャレンジ商品の紹介、何より「届けよう、おいしいみらい。」を掲げたSDGsの取組みを含む未来への仕組み作りの提案が目白押しで、例年以上に見ごたえのあるイベントとなった。
大阪会場で会見した井川伸久社長は「これまではビジョンと現実の乖離を感じることもあったが、今回は当社が掲げる『たんぱく質を、もっと自由に。』を具現化できたと思う」と評価。自給率向上や消費者ニーズに対応した現状取組むべき商品提案だけでなく、未来の消費者に向けた提案も紹介し食の可能性を追求した。
現状の商品としては4つのテーマに基づく5つのストーリーを提案。「世代を超える魅力」ではロングセラーブランドを、各世代の思いを基に強化。「わたしのリラックスタイム」ではお酒の相棒にぴったりのおつまみをそろえた。「地球沸騰化時代に生きる」では夏の長期化に対応した冷たいもの、喉ごしの良いものを提案。「明日のために小さな選択」は、たんぱく質や食物繊維が手軽に摂取できる商品に加え、いつも食べている食品で塩分ケアできる商品を訴求。中でも食肉・加工肉の両部門が連携した「生レンチン」が興味深い。
日本ハムの食肉・加工肉の両部門が連携し、精肉売場で展開する「生レンチン」は、透明パウチの中に生の鶏肉(桜姫)と調味液が入っており、袋のままレンチンするだけで一品完成するもの。12月のテスト販売は良好な結果を得ており味のバリエーションも増やしていく。
このほか加工品では「シャウエッセン」のラインアップ強化、「中華名菜」のリニューアルや同ブランドのアッパー商品「ゴールド」の提案を進める。たんぱく質摂取の新提案では「FiTeiN」(ファイティン=ファイバー×プロテイン)を自社生産で展開。肉のような食感の新素材で、いつもの食事メニューからたんぱく質と食物繊維の同時摂取が可能。
●みらいへの挑戦ゾーンに注目
会場では未来への挑戦ゾーンを「挑戦」「競争」に分けて紹介。
「挑戦」ではREDEFiNE MEAT 社(オランダ工場)で製造する、3Dプリンターを活用した新たな代替肉「New-Meat」を紹介。大豆を原料としたもので、ハムの代替ではなく精肉に代わる新しい肉素材を提案。また今鶏レバーを使ってフォアグラを再現した「グラフォア」は、今年から欧州での製造・販売を計画。このほか高たんぱく商品の「鶏米」や「フレイル予防プログラム」の提案、鶏の羽や豚の歯などを活用したアップサイクル事業なども紹介。食の課題解決としては「生レンチン」などレンジ対応商品に加えシャウエッセン肉に衣をつけた「シャウカツ」などを提案。
「共創」ではアニマルウエルフェアなど国内畜産業の持続可能性の追求や次世代畜産業モデルの確立に取組む同社が、全国農業協同組合連合会(全農)と共同開発した「もち米ボール」を紹介。さらに昨年12月に業務提携を発表したタイのCharoen Pokphand Foods(CPF)社とのアジア圏における取組みを紹介。CPF車を通じて輸入販売する「海老ワンタン」は好評だった。
未来へのアプローチを強めることは、実験的な商品開発が続くことを意味するが、その結果、同質化競争から脱却し差別化が図れるラインアップを充実させる考えだ。これまでも「モーニングサーブ」「シャウスライス」などのオンリーワン商品が極めて高い支持率を得ている。今年以降、マーケティング力をフル活用した時間が続きそうだ。
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