生おからを食品用卵殻粉でサクサクに
神奈川県川崎市高津区にある地元産素材にこだわった焼き菓子店「Len-Local Speciality Factory」の3店舗で、シュー生地がこれまでにないザクザク食感の「豆乳おからクッキーシュー」(1個 350円税別)が、7月13日に新発売。
Len-Local Speciality Factoryで人気ナンバーワン商品「うみたてたまごのシュークリーム」をベースに考案されたサステナブルシリーズの新商品で、シュー皮には捨てるはずだった生おからと卵殻粉を使用。クリームはカスタードクリームと豆乳クリームをブレンドした、口当たりがよく軽い食感が特長で、麻生区にある市川進養鶏場の「黒川の産みたて卵」も使用している。
地球環境にも体にもやさしい商品だが、発売までに1年以上を要するバックストーリーがあった―。
3店舗の運営会社であるten株式会社(川崎市高津区)の丸山佑樹社長が、高津区と中原区にある豆腐店で廃棄されている「生おから」に注目。栄養豊富な食材であるにもかかわらず捨てられ、処分するにも費用やエネルギーがかかる。SDGsの観点からも「もったいない」と考え、生おからを使用したシュークリームを試作してみたものの、生おからは水分量が多く、思うような味・食感にならなかった。時間が経つにつれ、生地が水分を含み柔らかくなってしまう。
「水分さえコントロールできれば理想のシュークリームがつくれるのに…」
そこで、キユーピーの開放特許商品である食品用卵殻粉「カルホープ」を使用することを思いつく。
「カルホープ」はキユーピーが独自技術により卵殻を0.01mm以下に微粉砕したもので、「シュー皮」の発明名称で2004年に特許出願。シュー皮に適量(0.2~5%程度)を含有することで、適度な硬さのあるサクサク食感のシュー皮となる品質改良材である。しかし、卵殻の成分は95%が炭酸カルシウムであることから、カルシウム補給食品など多くの商品に使用されている。
また、卵殻(粉)は超小の穴が多数ある多孔構造のため水分を穴に取り込む性質があり、この性質によりシュー皮が軟らかくならずにサクサク食感となる。
特許の開放は2009年からで、開放特許商品「カルホープ」の使用および特許使用契約については、公益財団法人川崎市産業振興財団が「知的財産マッチング事業」の一環として交渉役を担った。
同事業は、大企業の特許を使用した市内中小企業の商品開発をサポートするもので、食品分野では、森永製菓の特許商品を使用した和スイーツを誕生させた実績もある。
キユーピーにおいては、東京海洋大学と共同開発した卵由来のノロウイルス不活化剤「ノロクリアプロテイン」を配合した商品が、建設養生資材製造会社から昨年12月に販売されており、同様に川崎市産業振興財団のマッチング事業によるもの。
こうして誕生したSDGsな「豆乳おからクッキーシュー」ではあるが、「おいしい!」と思うことうけあい!!
【販売店】
Len-Local Speciality Factory 溝の口ファクトリー
Len-Local Speciality Factory 二子新地ファクトリー
Len-Local Speciality Factory マルイファミリー溝口
「ten」Instagram公式アカウント(@len_factory)
https://www.instagram.com/len_factory/
「キユーピー」公式サイト
https://www.kewpie.co.jp
「公益財団法人川崎市産業振興財団」公式サイト
https://www.kawasaki-net.ne.jp/
マルイファミリー溝口店