統合型調達モデル導入で10月までに100品目追加
西友は、コロナ禍における消費者の生活スタイルと購買ニーズの変化に対応するため、プライベートブランド(PB)商品「みなさまのお墨付き」の拡充を図る。
今年10月上旬までに新商品100アイテム、2022年には現在の倍となる2000アイテムへの拡大を計画。9月28日には、独自の「統合型調達モデル」による初の開発商品「ツナ フレーク」を発売する。
9月3日に都内で行われたPB戦略発表会では、今後の展開方針や調達スキームなどが明らかにされた。
PBの大幅拡充は、安全安心な商品を毎日低価格で提供するエブリデー・ロー・プライス(EDLP)戦略に基づいた中期事業計画「スパーク2022」の一環で、SNSなどを含めた消費者からの声「より良いものをより安く」の実現に向け、新商品開発および開発手法を強化する。
消費者ニーズに応えるための新たな商品開発では、4つのコンセプト①Quick & Easy:もっと簡単に、もっと美味しく②Guilt Free:話題のギルトフリーなおやつ③Healthy:健康生活、はじめるチャンス④Stay Home:お家時間を楽しもう―を新基軸に据えた。
また、商品化の基準とする「消費者テスト支持率80%以上」と「ナショナルブランド商品よりも10%以上低価格」は継続する。
商品開発においては新たな独自調達モデルを導入し、原料調達から製造・物流までサプライチェーン全体での統合を推し進めた。
昨年7月に新設した戦略調達専門チームでは市場マクロ環境分析による商品選定や、生産者・サプライヤーとの関係構築などにより、品質向上・調達コスト削減・安定調達の早期実現が可能に。
これらに施策により2022年までのグロサリーの売り上げは、毎年20%増を見込む。
PB2割以上や専用コーナー店舗を試験展開
商品本部食品・住居・衣料品部バイス・プレジデントの木下数基氏によると、「スパーク2022」に基づく今回のPB戦略は、消費者からの種類豊富さを望む声や、根強いファンが多いことなどを受けて必然的に進められたという。
しかし一方で、PB商品の新規開発にはコストがかかり消費者テストの縮小や廃止などによるコスト低減が検討されたが、低価格実現と信頼性確保の両立が必須であると判断。そのためには戦略調達専門チームは必要不可欠な存在になる。同チームを含めた開発部門全体では当初から2割程度の人材を増強しており、今回の戦略は西友全体の収益向上という大きな役割も担っている。
そのために真っ先に必要となるのが、消費者の認知度向上である。
これまで大半のPBは、他のナショナルブランド(NB)商品と同一の棚で陳列していた。NBと比較しやすく購入されやすい一方で、視認されにくいというデメリットもある。
そこでNBとは別棚、または別売り場で、PBのみ集約して陳列させる売り場づくりを試験的に開始した。高野台店(東京都練馬区)や吉祥寺店(東京都武蔵野市)では視認性が高まり、PBの売り上げが増加して堅調に推移している。
今後は、PBが売り場面積の2割以上を占める店舗や、テナント代替としてのPB専門コーナーを設けた店舗など、試験的な取り組みを重ねていく予定。
木下氏は、現段階での検討プランとして「売り場面積の半分以上をPBにした店舗も試みたい」と、PB拡充への意欲を語った。
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