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世界で戦う成長戦略構想/日清食品ホールディングス

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日清食品が完全栄養食

中長期成長戦略において、日清食品が仕掛ける新規事業の推進に注目が集まる。完全栄養食の開発・普及で未病対策先進国に導く。安藤徳隆副社長・COOが事業構想を示した。

日本は飢餓から飽食の時代へと変わり、オーバーカロリーや隠れ栄養失調など食生活が抱える問題点が表面化。同社は〝未来の食〟を①Sustainability(代替肉や昆虫食など)と、②Well-being(完全栄養食、食の個別化など)と定義し、〝おいしい完全栄養食〟の開発に向けて動き出した。

そこには減塩してもおいしさを保つ技術(ソルトオフ製法)、油分をカットしてもおいしさを保つ技術(ミスト・エアードライ製法)、カロリーをカットしてもおいしさを保つ技術(オリジナル3層麺製法)、味のえぐみや苦みをマスキングする技術や調理時の栄養素流出を防止する技術(栄養ホールドプレス製法)といった、カップヌードルなどで活用してきた技術の応用が期待される。

「日清のおいしい完全食」は、摂取カロリーを抑えても食事摂取基準に沿ったPFCバランスと各種栄養素をバランスよく摂取できるバージョン1.0を発売し、慶応義塾大学とはバージョン2.0の開発と分子栄養学の共同研究を開始する。

消費者との接点には、定期宅配便や社員食堂、健康寿命延伸サポートプログラム、小売り、アプリを通じてスマートシティ化にも貢献する。定期宅配では、Preferred Networksと共同開発したアプリで21年下期からサービスを開始。社員食堂は21年上期から伊藤忠商事と、下期から岡山の両備ホールディングスで展開。100人規模の実証を経て、1000人規模の事業へと拡大する。さらにシニア層への展開で低栄養の抑制につなげる。小売りではパッケージフードや弁当、ミールキットでの完全栄養食の展開が可能となる。

新規事業と既存事業の融合により、フードデザート問題(フードアクセス・経済格差など)など社会課題解決にも挑む。CRAIFらパートナー企業との協業を推し進める。3~5年かけて「日清のおいしい完全食」を普及させ、その後パーソナライズされた完全食を目指し、日本を未病対策先進国へと導く。テクノロジーによる食と健康のソリューション企業を目指し、既存事業コア営業利益の5~10%を継続的に投資。クリエイティブとフードテックで世界の食をリードする。

コア利益5~10%を投資

そのために必要となるのが持続的な利益成長、Mid-single Digit(既存事業コア営業利益成長率)が鍵を握る。成長投資の基盤となる既存事業の実質的成長を示す指標「既存事業コア営業利益」の成長を図る。

21年度では既存事業コア営業利益をCOVID―19の影響を控除した470億円を目標にスタート。23年度までにはその影響を含む20年度の同指標を上回ることを目指す。22年3月期連結の業績予想は売上収益5400億円(106.7%)、営業利益425~445億円、親会社の所有者に帰属する当期利益310~330億円。

2021年5月24日付

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