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店舗大変革を断行/大手コンビニ3社

投稿日:2020年10月19日

大手コンビニ3社の新型コロナウィルスの影響が見えてきた。第2四半期は大幅な販売減に加え、追加の加盟店支援策を進めた結果、各社は減収減益を計上した。第3クオーターに入り収益改善こそ進むものの、コロナ以前から続く肝心の客数が戻ってこない。あらゆる変化に対応した新型店舗への改革に挑む。さらにWithコロナ対応の先には業態自体が抱える独自価値の進化をはじめ、次世代FCビジネスの構築が待ち受けている。

唯一リモート会見したローソンの竹増社長

首都圏のオフィス立地の販売低迷は当然の結果。片や住宅立地では高まるまとめ買いが買い上げ点数を押し上げた。この結果、客単価は高止まりし、これが慢性的な客数減を支え既存店売上高の大幅減を防いでいる。特に売り上げを伸ばしたのは家飲み需要の増加を背景にした酒類(洋酒、酎ハイ)、常温和菓子を含むデザートや日配食品ほか、手作り料理の活性により調味料も好調だった。

下期は加盟店支援を軸に、Withコロナを見据えた店舗・品ぞろえの大変革を断行する。

セブン-イレブン・ジャパンの難局打破の急先鋒は、新レイアウト。内食需要増に対し酒類、デリカテッセン、カット野菜、スイーツなどがひと目で視界に入る2020年度版に進化させ、下期だけで8000店に導入する。先行テスト43店舗では地区平均と比べて2万7000円の日販増。21年上期までに導入可能な全店に拡大させる。セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は、「我々の強みは食品であることをコロナ禍で再認識した」と語った。DX(デジタルトランスインフォーメーション)の推進により効率化・省人化を図りながら、人にしかできないことに人的リソースを振り向け、お客との関係性を深めていく。

加盟店利益では17年9月からのチャージ1%減額、18年秋から導入開始した、19年度版新レイアウトなどが貢献。第1四半期はコロナの影響で95%まで落ち込んだが、第2四半期では前年を上回った。8月の利益合計では、7万1000円の伸長。また19年度の15年度比では5年間で年間約70万円も利益が増加している。

今後の持続的成長戦略に向けてはテクノロジーを活用した店舗の生産性向上、新たな顧客体験の提供を推進する。セミセルフレジは9月から加盟店への導入を開始し、21年上期までに全店へ導入する。またネットコンビニは、現在約300店で試験展開。7月から東京でのテストを始め、来期の早い段階で1000店舗まで拡大する。

ファミリーマートは収益力の強化として、店舗再生に注力。今年度から店舗再生本部を設置して変化対応に挑む。日商は再生前と比較して10%改善し、再生本部で受け入れた約200店舗の半数は、期末まで再FC化できる見通し。澤田貴司社長は「商売の仕組みを全部作り直す必要性を痛感している」と心情を吐露した。

また地域戦略では、3月に新設したエリア本部において、個々の地域特性を生かした店舗づくりを推進。加盟店参加型の開発商品、北海道・東北などの地域フェアに加え、ファミペイを用いた地域限定クーポンの配信などを行った。

期待の金融デジタル戦略ではファミペイアプリの8月末におけるダウンロード数は約600万回を達成し、キャッシュレス比率は約30%。7月にファミペイを導入して1周年を迎えたのを機に、クーポンの配信を倍増させ、店舗集客につなげてきた。現在検討中の後払いやローン機能も来年5月にサービスを開始予定で、金融事業の収益拡大に向けた取り組みをさらに加速させていく。また伊藤忠商事、NTTドコモ、サイバーエージェントとの4社でデジタル広告事業の新会社データ・ワンを設立。12月からの事業開始に向け準備を進めており、購買データを活用した広告配信による新たな収益の獲得を実現していく。

ローソンは「店利益基軸経営」をさらに推進。加盟店利益関連では、第1四半期の店舗当たりの店利益の前年比は100%を下回ったが、第2四半期では6、7、8月と上回った。

また商品面ではデザート、「マチカフェ」、FF、店内調理の「まちかど厨房」の強化を推進。同時に5つのカテゴリー(生鮮、冷凍食品、日配、酒類、常温和菓子)を強化分野に定め販売を推し進めた。竹増貞信社長は「下期はアッパー商品以外にお得感のある商品も積極的に投入する」との考えを示した。

今期は地域や社会、消費者の価値観が大きく変化する中、竹増社長を委員長とした大変革委員会を発足。商品開発をはじめ店舗理想形追求、グループデータ活用、サプライチェーン改革など11のプロジェクトを始動。ベンダー、センターやロジスティックス分野への改革にメスを入れる。

2020年10月19日付

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