人気のきっかけは、1970年の大阪万博

4月7日から復刻缶発売へ
1969年に登場した世界初の缶コーヒー「UCC コーヒーミルク入り(当時の製品名)」の復刻缶「UCC コーヒーミルク入り 缶250g」(125円)が4月7日から数量限定で発売開始。全国のコンビニ、量販店ほかオンラインストアを中心に販売する。
69年の発売以来、改良を重ね19年に発売した現行品は10代目となる。「三色缶」の愛称で親しまれるように、歴代の商品は全て「茶(コーヒー豆の色)・白(コーヒーの花の色)・赤(熟したコーヒーの実の色)」をパッケージに配している。
今回、10代目の展開は継続しつつ、大阪・関西万博の開催などから「世界で初めて缶コーヒーを開発した企業」であることを復刻缶によりアピールする。10代目が、こだわりのコーヒーとミルクのバランス、ミルク感の強いおいしさを特長としているのに対し、復刻缶は昔ながらのしっかりとした甘さ・コーヒー感のある味わい、それでいてすっきりと飲めるよう仕上げている。4月3日にはUCCコーヒー博物館(神戸市)でメディア向け試飲・説明会を開催。同館の栄秀文館長とUCC上島珈琲マーケティング本部の木佐貫和佳さんが、その歴史や商品概要を説明した。
世界初の缶コーヒーは、同社グループ創業者の上島忠雄氏(1910~1993)が「いつでもどこでも、一人でも多くの人においしいコーヒーを届けたい」という創業精神を具現化したもの。もともと瓶入りのコーヒー牛乳の飲用習慣があった上島氏は、駅売店で飲用した際、列車の乗車時間に間に合わず飲み残す経験があった(当時、瓶は売店に返す必要があった)。これが電車の中でも、つまり“いつでもどこでも”飲用できる缶コーヒーの開発につながった。
開発にかかった時間は1年間。それまで世の中になかった商品を生み出す時間としては、かなりのスピードで発売にこぎつけたと言える。だが、この1年は試行錯誤を繰り返す苦難の時間だった。コーヒーとミルクの分離、高熱殺菌により風味が失われるなど問題が多発。特に缶に含まれる鉄イオンとコーヒー成分のタンニンが結合し、真っ黒に変色する問題には製缶会社と話し合い、缶の内側に特殊なコーティングを施すなど手探り状態が続いた。
こうした諸問題を乗り越えて発売にこぎつけたが、販売でも苦戦を強いられる。当時は外出先で飲食することに抵抗があったこと、さらに喫茶店からは邪道視され商品は売れなかった。営業担当者は売店で「UCCの缶コーヒーください」と指名買いをしたり、あえて電車の中で飲むことで缶入りコーヒーの存在を、少しでも人目につくよう努めた。
転機は発売から1年が経過した時に訪れた。1970年の大阪万博だ。同社は出展企業に飲食品を卸し、併せて缶コーヒーの販売も行った。出展社や来場者が飲用する姿が報道にのって全国へ知れ渡ったことから、朝から晩まで会場に納品を続ける状況に。さらに会場で飲用経験した人からのリピート注文が相次ぎ、一気に市場を形成していった。
以来、現在に至るまで同商品の累計販売数量は実に160億本。復刻缶は今回の大阪・関西万博会場でも販売する。商品の内容のみならず、日本発の文化・缶コーヒーの歴史も国内外に届いて欲しい。
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