THE FOOD WEEKLY

Pickup 乳製品

注文相次ぐ人気のスティリーノって?/マリンフード長浜工場

投稿日:

長浜工場と工場長の松田常務

工場長として様々な改善を進める

外部要因も含めて課題山積の食品業界。ただ、こうした厳しい環境下でも需要が集中している商品もある。マリンフードが注力する「スティリーノ」をはじめとしたチーズ類もその一つ。同社チーズ商品群の約4割を製造する長浜工場(滋賀県長浜市)で話を聞いた。

原料高騰の波はチーズ業界にも押し寄せている。人気のベビーチーズは100円前後で売られていたが、今では130~140円台、素材にこだわった商品なら180円前後の売価だ。

同じ売場でひと際目を引く「98円」価格のベビーチーズ。食品スーパーなどのPB商品に多く見られる植物油脂を配合したチーズタイプの商品だ。この市場で圧倒的なシェアを誇るのがマリンフードの「スティリーノ」。

原料チーズと乳化剤などを攪拌しスティリーノ原木を作る

自動計量装置でシュレッドを各商品に合わせ計量

ベビーやスライスなどのプロセスチーズは、海外原料を使用しているものが多い。チーズ原料の相場は乱高下することも珍しくなく、今のように極端な円安が進む状況ではなおのこと、リーズナブル価格を実現することは困難だ。

原料相場に左右されることなく安定した価格と数量を供給したいとの思いから、同社では2007年にチーズ代替品・スティリーノを開発、翌年には大増産に踏み切った。低価格だけでなく植物性なのでコレステロールを大幅にカットできるヘルシー性もあり、流通PBや飲食店のメニュー素材として好評を博し、同社の看板商品となった。マーガリン製造から始まった同社だが、今では売上の8割程度を、スティリーノを含むチーズ類が占める。その生産量は全社で約1.8万t規模、うちスティリーノは8千t程度とほぼ半分に達する。

長浜工場は、拡大するチーズおよびその代替品市場の両方に対応すべく建設。同社チーズ類の第3の製造拠点で、その4割を製造するほかベビー・スライスの生産を一手に引き受けている。同工場の生産規模はチーズ類をメインに約1.1万t。前年の1.4万tと比べると減産となるが、シュレッド製造の一部を埼玉工場に移管したためで、本格稼働を開始した13年度と比べると約3.7倍に拡大している。

主要品目のシュレッド、スライス、ベビー(いずれもスティリーノ製品を含む)は大手量販店PBやドラッグからの引き合い増で、今も伸長が続く。当面はいかにスティリーノを増産するかが課題で、新棟建設も検討している。

ストリングを製造

長浜工場ではベビーチーズの生産を一手に担う

もちろんいいことばかりではない。特に昨年は原料高・値上げの影響が強まった。コスト削減策から流通企業からはサイズダウンの要請が顕著となり、包材を含め商品の仕様変更が大きな負担となった。生産性の見直しを迫られ、2週間に一度、改善プロジェクトを実施。

この改善については、昨年、長浜工場長に就任した松田竹志常務が手腕を振るった。1ラインにつき2人で取り組んでいた作業を1人に減らし、一方でカメラ検品を導入。これは一定の効果を得た。今も作業導線のレイアウト変更などを行い、効果検証を進めている。さらに7割を占めるPB製造では、営業と生産現場が相談しながら配合の見直しを行った。

昨年までと比べると、値上げラッシュに落ち着きが見られる中、顧客別にきめ細かな商品作りを続けてきた結果、全社では1千品目、同工場では229品目程度を生産。多品種小ロットの小回りが利く生産体制を生かし、さらなる需要に対応する構え。家庭用が中心のスティリーノも、海外同様に飲食店や宅配ピザ、製パン製菓市場に積極提案する。

WEB先行記事

-Pickup, 乳製品

Copyright© フードウイークリーWEB|週刊食品 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.