THE FOOD WEEKLY

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日本食品安全デー2021/GFSI日本ローカルグループ

投稿日:2021年6月11日

輸出に重要な管理規格

青木新共同議長

深田新共同議長

世界食品安全デー(6月7日)を前に、世界食品安全イニシアチブ(Global Food Safety Initiative、GFSI)日本ローカルグループは、「Japan Food Safety Day 日本食品安全デー2021」を6月10日にオンライン開催した。

新たに共同議長に選出された2人がコメント。青木英紀氏(イオングループ品質管理部長)は「発足から20年超の団体として、今後も消費者に高品質・安全な食品の供給にまい進」、深田浩司氏(キリンホールディングス執行役員品質保証部長)は「食品安全は競争領域ではなく、協調領域」。また、理事会メンバーでイオンのアドバイザーでもある宮城島一明氏は、GFSIの最新情報を紹介。新統治機構として体制の強化、休眠状態だった北米のローカルグループが活動を再開したことなどが報告された。

セミナーでは国際的な食品安全管理規格取得の必要性と、取得による輸出拡大のメリットなどが紹介された。第一部では豊福肇山口大学共同獣医学部教授が、「コーデックス委員会の食品衛生の一般原則とHACCPガイドラインの改正について」をテーマに講演。従来のGPFHおよびHACCPに対し大きな変更は無いが、関係性が明確になったと説明。マネジメントコミットメントも追加された。

都築伸幸内閣府食品安全委員会事務局情報・勧告広報課長は、食品安全委員会の活動状況を報告。食品の健康影響などの科学的リスク評価を行う団体ながら認知度はわずか3%。今後も啓発活動を継続する。

大熊武農林水産省食料産業局食品製造課食品企業行動室長は、日本食品の輸出拡大の可能性を強調。農林水産物・食品の輸出額は右肩上がりで推移し、20年も前年比1.1%増の9860億円。コロナ禍の停滞から回復し、今年1~4月も32.3%増と好調。中国ではウイスキーなどアルコール飲料、アメリカではブリやハマチなどが人気で、牛肉やホタテ貝の出荷も増加。30年には5兆円を目指し、牛肉やブリなど重点品目も定めた。

大熊氏はGFSI承認規格であり日本発食品安全管理規格のJFSが、国内企業の輸出強化につながることを指摘。日本の食文化や製造方法と合い、中小企業も取り組みやすいと説明した。

この他、企業の取り組み事例も紹介された。水産物の加工販売を行う一光園(大阪府、森川二郎社長)は、アメリカのすし需要に応えるためスライス加工品輸出を計画。安全を担保する必要性からJFS―Bに続き、最上級のC規格も取得。輸出拡大と企業イメージの向上、社内全体の安全意識も高まったという。

西山製麺の西山社長

山形飛鳥(山形県、五十嵐七朗社長)は、酒田市名物の船凍イカを海外の展示会に出品してきたが、以前は国際的な食品安全管理規格の未取得から契約に至らなかったが、取得後は海外展開に意欲。西山製麺(北海道、西山隆司社長)は、FSSC22000などを取得し、アメリカやアジアなど32カ国で札幌ラーメン輸出が進む。西山社長は「認証取得は未来を手にするための道具。価格競争に巻きこまれず商売できる」と力説した。

CPO(Certification Program Owner:認証プログラムオーナー)ディスカッションも行われ、食品安全マネジメント協会(JFS)、日本GAP協会(ASIAGAP、JGAP)、 The Foundation of Food Safety Certification(FSSC22000)、GLOBALG.A.P.、SQFI(SQF)の各認証団体の関係者が出席。日本の発言権をさらに高めるべきなど、活発な意見が交わされた。

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