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ヤマザキマリ氏が日本人3人目のプロテクトゥール/ギルド・クラブ・ジャポン

投稿日:2019年3月8日

日本のナチュラルチーズいよいよ世界へ

左からプロテクトゥールに叙任されたヤマザキ氏、ロラン・バルテレミー会長、本間るみ子副会長

チーズ業界の活性と発展を目的に1969年、フランスに本部を開設した【通称】ギルド・インターナショナル協会(ロラン・バルテレミー会長)の日本支部であるギルド・クラブ・ジャポン(同)は3月6日、千葉県の幕張メッセで開催されたFOODEX JAPAN2019で「~チーズのプロ達が語る『欧州においつけ日本のチーズ』~」をテーマにステージセミナーを開催。会場は立見が出るほどの盛況だった。

ギルド・インターナショナル協会は世界33ヵ国で6810人の会員(18年5月現在)を擁し、欧州をはじめ約20カ国に支部を構えるチーズに関わる最も権威と歴史のある団体。

ギルド・クラブ・ジャポン(東京都国立市)は2017年4月に設立され、ギルド協会の基本理念に基づき日本のチーズ業界の活性と発展、さらに日本のチーズ文化を発信することを目的としている。

セミナー第1部ではギルド協会の儀礼に則った叙任式が行われ、「テルマエ・ロマエ」の作者として知られる漫画家、17歳の時からイタリア在住のヤマザキマリ氏を新規名誉会員・プロテクトゥールとして認定した。

ヤマザキ氏は14歳の時、母親に勧められ初めて一人でイタリアに渡る。言葉の壁に苦心する日々の中で、知人宅の生活で提供される食事を通じてチーズの魅力にふれる。ヤマザキ氏は「チーズとワインが冷蔵庫にあることで今日の私がある」とチーズへの想いを語った。

さらに第2部ではロラン・バルテレミー会長、日本のチーズ業界に貢献するギルド・クラブ・ジャポンの本間るみ子副会長(フェルミエ会長)、久田早苗副会長(久田副社長)がそれぞれ講演。フランスや日本のチーズ事情について説明が行われた。

ロラン・バルテレミー氏はチーズの歴史を振り返り、日本とフランスのチーズ消費量を比較。日本では1980年頃に小さな工房でナチュラルチーズ(NC)の生産が始まる。当時は全国で80軒ほど、種類にして260品。日本におけるチーズの消費量は平均450g、フランスでは22kgと大きな開きがあった。30年後の2010年には日本で2.6kg、フランスは28kg。日本のチーズ品質は確実に上がっている。「今後の日本のチーズ文化を高めていくには若い人の力が必要」とチーズ業界盛り上げに期待を寄せた。

また、本間るみ子氏は日本での活動を紹介。昨年10月に1回目の叙任式が行われ、2回目は北海道・十勝、そして3回目を迎えた。日本メンバーは今回で100人を超え活動も活発化。ちなみに世界における叙任式は562回を数える。ヤマザキ氏が叙任したプロテクトゥールは、辻仁成氏と辰巳琢郎氏が昨年叙任されており、ヤマザキ氏は国内3人目の栄誉。国内の生産者は300軒に迫る勢いで、本間氏は「日本人の勤勉さの賜物」と指摘し、「日本のチーズが世界に輸出できることを応援していく」と抱負を語った。

さらに久田氏は「来年あたりギルド・クラブ・ジャポンでイベントを行いたい。日本のチーズを世界のオンリーワンに育てたい」と意欲。さらに「日本のチーズは20年前と比べたら雲泥の差で進化した。世界のチーズと日本のチーズを結びつける仕事をしたい」と今後も業界発展のために尽力していく考えだ。

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