9月期決算は5年連続で増収を達成
総合食品卸商社の大物(大阪市生野区、日阪俊典社長)は10月9・10日の2日間、マイドームおおさかで「2019年大物秋季謝恩展示会」を開催。〝~人生100年をささえる~食でつくる未来の社会〟をテーマに、158社(新規13社)が出展し、得意先200社(卸170社、SM30社)、約400人が来場した。
会場では健康寿命を食からサポートする商品を中心に訴求。減塩・減糖対策商品、健康補助食品、健康缶詰等が人気を博した。また推奨品として得意先の開発商品を提案したほか、近年注力する業務用メーカーの試食小間で、その取り組み強化も訴求。さらに会場入口ではメーカーイチオシコーナーとして、出展企業のイチ押し商品を特設コーナーに集めて披露した。
展示会初日には、日阪社長が出展企業らに謝辞を述べた一方、直近および今後の市場動向の不透明感に懸念を示した。
5年半ぶりの消費増税は、軽減税率とポイント還元制度の導入により、5種類の税率(10%、8%、6%、5%、3%)が適用され、企業、消費者とも混乱に陥っている。加えて還元対象外の大手小売は独自の還元策を打ち出し、値引きや値下げが相次ぎ、その価格が常態化する可能性もある。
日阪社長は「混沌とする環境下での展示会。従前以上に価値提案をお願いしたい。難しい時期ではあるが、当展示会を起爆剤に、意気を上げて今後につなげてほしい」と呼びかけた。
また、日阪社長は第60期9月決算概要も報告。売上高は前年比100.2%の122億円で、5期連続の増収を達成。特に後半7―9月は着実に売上を伸ばし、前半のマイナスをカバーした。メーカーの値上げ商品による金額増だけでなく、物量も増加しているのが強み。経常利益は微減益の着地を見込むが、販売利益の改善は大きく転換、「稼ぐチカラ」は増しているという。増益に及ばなかったが、経営の屋台骨を揺るがすほどの物流費高騰が、社員のコスト意識を刺激、結果販売利益改善への取り組みが本格化した。
さらに15年前に完全外部委託した物流を、一部自社配送に切り替えるという大きな決断も発表。8月に物流部(社員3人、契約社員等4人)を立ち上げ、9月からスタート。自社配送は効率性の低いエリアを中心に展開、委託配送とのバランスを見極めながら、コストコントロール力を高める。1カ月が経過し成果が出ているが、何よりも物流に携わることで、従業員の意識改革が進んでいることが大きい。新年度はこれらの効率化策により、物流費を1割程度削減する計画。
なお、展示会では大物会会長の日清食品大阪営業部・浅井雅司部長が全国的に厳しい環境にあるとしながらも「大阪はいぜんインバウンド需要に期待感。当社では物流起点で販促を考えるプロジェクトなど、当地から情報を発信していく」と意気込みを見せた。
三菱商事関西支社、食品・コンシューマー産業部の古市匡部長は、ラグビーワールドカップで善戦する日本チームを引き合いに出し「きめ細かな戦術と現場での判断が上手く融合した結果。ビジネスでも本部での戦術を現場に上手く落としこめる連携が肝要だ」と説明した。
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