第9回アクセス業務用市場研究会講演会を開催
日本アクセスと取引先メーカーが共同で業務用食品市場の活性化に取り組む「アクセス業務用市場開発研究会(AG研)」(加盟170社、寺田直行会長/カゴメ社長)は11月13日、日本アクセス本社で第9回講演会を開催。約120社のメーカーが参加した。
冒頭、寺田会長は会員企業を前に、チームMD力強化を進めるAG研は今期3億円の売上目標を掲げ、全国の地域・支社に至るまで幅広い取り組みが行われている点を確認。また、増税後の市場について「まだら模様」としつつ、来年のオリンピック・パラリンピック開催へ向けて、800万人の訪日外国人が見込まれる外食産業に期待。それを受けた東京は、会社員の勤務時間への影響が予想され、通常の3~5倍の出勤時間を要する可能性を指摘。大手企業ではテレワークも進んでいることから、在宅勤務による内食需要の拡大も予想される。そして、再び大きな課題となる物流問題を挙げた。
また、一般社団法人日本惣菜協会の清水誠三常務理事が、伸長が続く惣菜業界の環境について報告。発刊から15年目を迎えた「惣菜白書」をベースに次の様に解説した。
2018年の中食市場は10兆2518億円(前年比102.0%)と9年連続で成長を見せた。カテゴリー別では「袋惣菜」が注目。3年連続で2桁成長を続け、全体に占める構成比も10%を超えた。市場拡大のポイントに、製造技術の向上と、食品ロス問題への意識の高まりを挙げ、今後は出来立て惣菜、ロングライフ惣菜への引き合いが強まるとの見方だ。
カット野菜も増加を示す。さらに鶏のから揚げや野菜サラダの伸長が特筆。恵方巻は2018年でピークアウトしたとの見方も。今年はロス削減への動きが強まったことから前年比90%で着地したとの報告もある。今後は健康、栄養バランス、野菜が多い、減塩・無添加・低カロリーが惣菜市場のポイントになる。
一方、労働力不足からくる外国人の雇用状況についても報告。食料品製造業は低賃金であることから、有効求人倍率も2.78と全産業平均の1.54を大きく上回る。そして、生産性も低い。中でもすし・弁当・調理パンは一人当たりの労働生産性が極めて低い。
外国人の在留資格である「技能実習」と新たに始まった「特定技能1号」との違いを説明。特定技能1号には3万4千人の採用を予定するが、現状630人しか受験していない。一方、技能実習生はさらに増えており、年間2万人ほどいることなど課題を挙げた。
また、今年は15年ぶりに食品衛生法が改正され、全ての食品等事業者は「HACCPに沿った衛生管理」が求められる。来年6月12日までに施行、遅くても2021年同日までに実施する必要がある。同協会でも認定を行っており、数多くの問い合わせがあるようだ。
また、惣菜管理士の取得者人数が2万7千人を突破。今年は3700人が受講を開始したことも報告された。
講演会の講師には、年商115億円(2019年7月期)、全国で90店舗の飲食店経営や運営、企画・コンサルタントを行うバルニバービ(大阪市西区)の佐藤裕久社長を迎え、「外食産業と地域振興…その未来のあり方」をテーマに講演。佐藤氏は数々の成功事例を紹介しながら、「供給を作ることで需要が生まれる」と力説。右脳を活かしたマーケティングで世に繁盛店を送りだしてきた。その佐藤氏がポイントに挙げたのが「テロワール」。現在、淡路島で進めているビジネスでも実証済みで、さらなる進化を遂げるようだ。
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