丸紅とペット再生新事業
イオンは1月25日、サステナブル経営についてオンライン説明会を実施。同社グループの2019年度CO2排出量は、18年度比で約3%削減。10年度比では延床面積が20%以上増加したが、10%程度の削減を果たした。
太陽光発電設備を自社SCに設置したオンサイトPPAでは、20年度から4SCで受電を開始。今後、全国200カ所に拡大する可能性がある。また設備を設置する個人宅からの買い取りも進め、中部圏の3SCで年間1600万KWhの再生可能エネルギーを調達。各SCの消費電力の25%をカバーしている。さらにEVを通じて各家庭で発電した電力をイオンモールに移行するシステムの構築(VPP)やAIを活用し、再エネの環境価値をWAONポイントにひも付けるブロックチェーンの実証実験も進め、22年度中に事業化を予定する。
このほか新業態そよら1号店内のイオンスタイル海老江では、カメラや温度計などで人の流れや温湿度、CO2濃度などを検知しAIで解析。20年3月〜22年8月までの実証実験では、空調によるCO2削減量40%を目指す。
持続可能な調達方針の20年までの目標に対し、19年度の進捗率はRSPO認証原料100%のパーム油使用についてはすでに達成。農産物では、適正農業規範(GAP)管理100%使用が99%。こうした当初の取り組みに加え、サステナブル・コーヒープロジェクトも始動した。
同プロジェクトでは第3者認証を取得した原料を使用するほか、生産者のコミュニティ支援を行う。すでにミニストップとイオンリテール全店で販売するドリップカフェは、プロジェクトの対象となる原料豆をベトナムから調達。現地の生産者の生活改善や教育などのほか、極端な相場下落時にも適正価格の買い取りを行う。
プラスチック利用については、30年までに使い捨てプラスチックの半減、全PBで環境配慮素材を使用、PBのペットボトルを100%再生または植物由来素材へ転換することを掲げる。特にペットボトル再生に注力しており、19年度は1・9億本を回収し4・3万tのCO2削減を達成。今年2月からは丸紅と協働で、使用済みペットボトルの回収・運搬から製品化まで一気通貫で行う「ボトルtoボトル」資源循環モデルの構築を、まずは関東で進める。
食品廃棄物の削減では、世界の小売業がそれぞれのサプライヤーと協業して取り組む「WRI10×20×30」に参画。その一環でミニストップが日本デリカフレッシュと弁当類などの製造・納品回数を減らし、排気量13%削減を実現。
防疫対策ではフードコートなどで換気扇の増設や高性能空気清浄機を設置し、光触媒方式による除菌機の導入事例を紹介した。また、従業員の雇用を守るべく、昨年4〜5月にはサービス・専門店事業14社の従業員を食品スーパーやドラッグなど17社に短期出向させた。さらに外食産業からの要請に応じ、外食7社200人をグループのスーパーなどで受け入れた。
なお、電力事業などに注力することによる業績への影響を問われ、環境・社会貢献・PR・IR担当の三宅香執行役は、大型投資を必要とするものではないとした上で「あくまで通常のオペレーションの中で取り組む」と説明した。
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