即食市場への挑戦示す

岩橋社長
日清製粉グループの日清製粉ウェルナは8月6日、東京都内で2026年秋の新製品発表会を開催し、ブランド価値の向上を軸とした成長戦略を打ち出した。物価高や生活者ニーズの変化を追い風に拡大が続くパスタ市場を背景に、「マ・マー」「青の洞窟」のブランド力を一段と高めるとともに、「本格×即食」という新たな価値提案で需要創造を図る。さらに、国内で培ったブランド価値を海外市場へ展開する取り組みも加速し、パスタ文化のさらなる定着を目指す考えを示した。
冒頭、岩橋恭彦社長は、コロナ禍以降もパスタ市場が着実な成長を続けている現状を紹介した。乾物スパゲティ市場は需要拡大を維持し、冷凍パスタ市場も電子レンジ調理の利便性やコストパフォーマンスが改めて評価され、過去最高水準で推移しているという。足元ではコメ価格の変動などによる影響もみられるものの、乾物スパゲティは前々年比では高い水準を維持し、冷凍パスタも引き続き市場をけん引していると説明。「物価高の時代だからこそ、パスタが持つ価値が生活者から改めて評価されている」との認識を示した。
その背景として挙げたのが、生活者の価値観の変化だ。長引くインフレの中で、時間や光熱費、食材の無駄を減らしたいという合理性を重視する一方、おいしさや満足感は妥協したくないという意識が高まっていると分析。保存性や経済性、簡便性に加え、多彩なメニュー展開が可能なパスタは、こうした時代に適した主食として存在感を高めているとした。その上で、「食品メーカーにとって重要なのは商品の価値であり、その価値を生活者に伝えるブランドの力だ」と述べ、ブランドへの継続投資の重要性を強調した。

〝本格×即食〟で新たな価値提案
同社は昨年、「マ・マー」のリブランディングを実施し、生パスタシリーズの育成や大谷翔平選手を起用した広告展開を推進。今年はプレミアムブランド「青の洞窟」を刷新し、ブランドイメージや購入意向の向上につなげた。市場全体が高水準で推移する中でも、ブランド投資によって市場を上回る販売実績を確保するとともに、認知度や好感度も向上したという。岩橋社長は「ブランドは一朝一夕には育たない。価値を磨き続けることで、市場そのものを広げていきたい」との考えを示し、ブランド育成を今後の経営の柱に位置付けた。
こうしたブランド戦略の先に据える新たな成長領域が、「本格×即食」である。
東雅文取締役商品開発本部長は、実質賃金の改善を背景に内食需要は底堅く推移する一方、単身世帯や共働き世帯の増加を受け、「献立を考える」「買い物をする」「調理する」「後片付けをする」といった食事づくりの工程そのものを減らしたいという「調理キャンセル」の意識が広がっていると説明した。その上で、2026年秋の商品開発では、「本格」「即食」「利便」「健康(ウェルビーイング)」を柱に据え、生活者と食の変化を新たな市場機会として捉える考えを示した。

東取締役商品開発本部長