一般社団法人おいしさの科学研究所(東京都中央区、代表理事=峯木眞知子)と株式会社味香り戦略研究所(東京都中央区、代表取締役社長=小柳道啓)は、「おいしさの科学」プラットフォームの共同推進体制を構築した。味覚や香りの分析に加え、記憶、経験、文化、期待感など、人が「おいしい」と感じる背景を多面的に捉え、研究成果の社会実装を進める。
両者は、おいしさを主観や経験則だけで語るのではなく、誰もが共有・活用できる「知」として体系化することを目指す。味覚センサや香気分析、AIによるデータ解析、感性工学、認知科学などの進展を背景に、日本が培ってきた食文化の価値を科学的な視点から整理し、国内外へ発信していく考えだ。
おいしさの科学研究所では、おいしさを「感覚・記憶・期待が一致したときに生まれる主観的価値」と定義。味や香りに関する科学と、人の感情や認知に関わる感性の科学を組み合わせることで、おいしさをより立体的に理解する新たな知の体系づくりに取り組む。
一方、味香り戦略研究所は20年以上にわたり、15万件を超える食品・食材データベースを蓄積してきた。味覚センサ、香気分析、官能評価などに加え、嗜好性診断プラットフォーム「コレスキ」を活用し、「人はなぜそれをおいしいと感じるのか」を分析している。九州大学や早稲田大学との産学連携も進め、感性工学や認知科学の知見を取り込んだ研究を展開している。
今回の共同推進では、おいしさの科学研究所が「定義・研究・発信」を、味香り戦略研究所が「分析・実装・社会展開」を担う。両者の役割を連携させることで、企業の商品開発支援や共同研究、フードテック企業との連携、教育プログラムの展開などにつなげる。
食感やくちどけも科学的に解析
2025年に、食品の微細構造研究を専門とする峯木氏が同研究所の代表理事に就任したことを契機に、両者は走査電子顕微鏡(SEM)を用いた食品構造解析サービスも強化している。
対象となるのは味や香りだけではない。食感、くちどけ、舌触り、咀嚼時の変化といった、おいしさを形づくる要素についても科学的な理解を深める。食品の微細構造と食べた際の感覚との関係を捉えることで、より精度の高い商品設計や品質評価への活用が期待される。
Webマガジンでフードテックの実践知を発信
おいしさの科学研究所は2026年5月から、Webマガジン「フードテックトレンドニュース」を発行している。企業、研究者、スタートアップ、行政機関などへの取材を通じて、おいしさ、健康、フードテック、サステナビリティ、食文化をテーマに、国内外の動きを紹介する。
新企画「フードテック最前線」の第1回では、不二製油の植物性素材ソリューション「MIRACORE」を取り上げた。同社の風味基材事業部長である齋藤努氏へのインタビューを通じ、「正しいから選ばれるのではなく、また食べたいから選ばれる」という視点から、植物由来食品におけるおいしさと満足感、サステナブルフードの可能性を紹介している。
フォーラム、共同研究、教育へ展開
今後は、「おいしさの科学」フォーラムの開催をはじめ、企業との共同研究・商品開発支援、フードテック企業との連携を進める。また、「おいしさソムリエ」「おいしさ鑑定士」などの教育プログラムも展開し、おいしさを理解・評価・伝達できる人材の育成にも取り組む。
おいしさの科学研究所の早坂浩史専務理事は、「味覚だけでなく、人の感情や記憶、期待まで含めておいしさを理解し、日本が培ってきた豊かな食文化を科学的な知として整理していく」とコメント。小柳社長も、蓄積してきた食品データと感性研究を融合し、「一人ひとりのおいしさに寄り添う仕組みを社会へ広げていく」としている。
日本の食文化と先端科学を結び付け、おいしさをより深く理解し、共有し、未来へつなぐ――。両者は「おいしさの科学」プラットフォームを通じ、日本発の新たな知の創造を目指す。
一般社団法人おいしさの科学研究所®
https://oishisa-no-kagaku.com/
株式会社味香り戦略研究所
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