コロナ禍で法案策定求む
外食産業経営者による有志の会「外食産業の声」委員会は、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込む中、家賃の支払いを猶予、減免する「家賃支払いモラトリアム法」の策定を国に求めている。
新型コロナウイルスで大きな打撃を受ける外食産業。特に緊急事態宣言が発令された4月7日以降は臨時休業、営業時間の短縮を余儀なくされ売り上げは激減し、資金繰りも悪化の一途をたどる。国や自治体によってさまざまな救済策が検討されているが、事業継続にとって毎月発生する家賃支払いが負担となっている。
4月21日に都内で記者会見を開催し、委員会発起人の松田公太氏(EGGS,N THINGSJAPAN代表取締役)らを中心に、Web会議システム「Zoom」を活用し、全国の外食産業経営者100人がオンラインで参加。松田氏は「コロナ禍は少なくとも1年は続く。家賃は毎月一定額支払わなくてはならず、中には家賃滞納を認めない不動産オーナーもおり、このままでは多くの店が倒産に追い込まれる」と厳しい現状を訴えた。
そこで同委員会では「家賃支払いモラトリアム法」を提案。骨子として不動産オーナーにテナントとして入居する外食店との話し合いを義務化し、家賃の減免・猶予が困難な場合はテナントと不動産オーナーの合同で政府系金融機関による家賃の立て替え支払いの申請(1年後から返済)などを盛り込む。
法案可決に向けては各政党にも働きかけ、「外食産業のために、与野党連携で早期の法案可決を望む」と切望した。すると28日には立憲民主、国民民主、共産、社民各党と日本維新の会が中小事業者の家賃負担を軽減する法案を衆議院に共同提出し進展が見られた。
さらに同日には松田氏ら経営者が再び集まり「家賃支払い問題に関するパネルディスカッション」を都内で開催。自由民主党田村憲久政調会長代理、立憲民主党福山哲郎幹事長、国民民主党玉木雄一郎代表、公明党岡本三成衆議院議員、日本維新の会足立康史幹事長代理、日本共産党笠井亮衆議院議員ら登壇者に窮状を直訴した。
経営者からは「売り上げが8~9割激」「不動産オーナーも大変だが、家賃を払い続けなくてはいけない恐怖を感じる」と声が上がる中、自民党田村政調会長代理は「まずは国民の命を守り、日常生活を取り戻す。そのためにも多くの労働者の救済へ政府系、民間の金融機関で無利子、無担保の融資を検討。オンライン化など手続きの簡略化も進めている」と対応。外食産業には「早急な対応が必要であり、スピード感を持って対策を講じる」と語った。
立憲民主党福山幹事長は「外食産業にとって家賃は喫緊の課題。与野党関係なくスピード感を持ってやらなくてはいけない」と早期解決を強調した。
国民民主党玉木代表も「このままでは倒産、廃業が出る。家賃支払い猶予に対し政府系金融機関が応じない理由はない。1年以上支払いを待ってもいいのではないか」と提案した。
松田氏は「各党から『スピード感』と力強い言葉が出た」と、家賃支払いの現状に理解を得られたと手応えを示した。
2020年5月11日付