新中計は業務用が鍵握る
日本アクセスは5月26日、本社で2022年3月期(2021年度)決算を発表。連結売上高2兆1202億9500万円、営業利益234億700万円(前期比134.1%)、経常利益238億7600万円(133.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益163億4200万円(167.8%)。
新会計基準の適用で売上高は1312億円の減少となったが、旧会計基準での比較では104.9%の2兆2515億円。また20、21年度と新型コロナによる環境変化に対応すべく、業務改革と事業モデルの変革を推進。19年度比では売上高で971億円増、経常利益で25億円増などコロナ前の水準を超え、売上高・収益とも食品卸トップとなった。
業態別ではリージョナルチェーン771億円、ナショナルチェーン426億円、ドラッグ236億円の増収により、CVS、外食・デリカメーカーの減収をカバー。商品別では、ドライ8285億円(19年度比104.3%、構成比40.5%)、チルド7376億円(104.1%、36.1%)、フローズン4786億円(109.2%、23.4%)。特に市販用冷凍食品は123.8%と最も伸長した。売上高と通過額を合わせた総事業規模は4.81兆円。通過額は微減に。
第8次中期経営計画は「構造改革2024~新たなサービス・価値の想像~」をスローガンに取り組む。中計最終年度の24年度は売上高が21年度比で14.1%(3千億円)増の2兆4203億円、経常利益は16.3%(39億円)増の278億円、親会社株主に帰属する当期純利益は16%(26億円)増の189億円を設定。3カ年投資計画は、物流やシステムなどを併せ500億円。
具体策として22年度から新組織を設置し、重点施策に取り組む。商品開発(中計期間の売上目標200億円)ではマーケットインの発想のもと、全社横断型の開発・販売力の強化でニーズに対応したオリジナル商品や留め型、EC商品を積極展開。業務用では業態軸に捕らわれず、内食・中食・外食のシームレス化に対応し原料を含む市場全体で、新規顧客やマーケットを開拓する。内食・外食逆転でSM、GMSの成長が鈍化する予想にあり、CVSも19年度並みへの回復が難しいとされる中、佐々木淳一社長は「SMやCVSのデリカ、外食が鍵となる」とした。
フルライン卸戦略(800億円増)では菓子はグループ企業との連携を強化。酒類は差別化商品の磨きこみと機能強化、海外・ECなど新販路を開拓。非食品はドライと日雑の共同配送に期待。
チルドプラットフォーム(8千億円)では商流は専門サイト「チルプラ」を活用し、販売代理店機能による顧客との取り組みを深耕。物流は各エリアのチルドセンターの整備を行い、川上物流を含むチルド物流インフラを強化。19年度比1千億円増を達成する。
海外では90兆円とされる中国の外食市場でのシェアアップを図り、EC(200億円)ではフローズンの同社倉出し機能を活用した冷凍宅配事業の構築を図る。これにより首都圏を中心に、EC事業者向けのフードサポート事業を開始予定。
物流ではフローズンマザーセンターを全国で展開。冷食物流の課題である手積み・手降ろしによる業務負荷の低減を進めるべく、業界全体で一貫パレチゼーションの導入を目指す。冷凍物流におけるパレット化とレンタルパレットの共有を推進。マザーセンターは、22年度に近畿、23年度に中部・東北、24年度には九州で順次稼働予定。3カ年における物流・ITインフラ投資は360億円を計画。なお、物流業界からは期初に16億円の物流費の値上げ要請があり、中計期間では24年問題を含め最大100億円の物流費の増加を想定。拠点整備や効率化で対応する。
2022年6月6日付