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№1卸支える物流パートナー/日本アクセス

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新中計も冷凍チルド磨く

日本アクセスの物流パートナー企業75社(2022年度)で構成される「アクセスロジスティクス会」(会長:SBSホールディングス鎌田正彦代表取締役)の第10回総会が4月15日、東京マリオットホテルで開催され、106人の会員企業が参加した。日本アクセスの佐々木淳一社長は同社21年度事業を総括し、4月からスタートした3カ年の新中期経営計画における物流課題を示し、さらなる協業体制の強化、成功事例の積み重ねを求めた。

佐々木社長

佐々木社長が同社の21年度概況ならびに22年度方針を説明した。先行き不透明な経済情勢にあって、21年度は単年の経営計画を立案・実行、低重心経営に努めた。その中で5つの重点施策に取り組んだ。新収益基準を導入した連結決算(速報値ベース)は、売上高2兆1205億円、経常利益239億円、親会社株主に帰属する当期純利益163億円の過去最高益で着地する見通しで、各指標で食品卸売業界ナンバーワンを獲得。売上高は新基準導入前では2兆2514億円(前年比105%)だった。佐々木社長はパートナー企業の物流改善を評価、感謝の意を伝えた。

また、4月からスタートした第8次中期経営計画では、「成長・競争優位の確立」「収益構造改革」「経営基盤改革」を基本方針に、食品流通業界ナンバーワンのリーディングカンパニーとしての地位確立を目指す。

ロジスティクス関連では、5つの取り組みを推進する。埼玉県加須市でスタートしたフローズンマザーセンター運用を経て「冷凍物流の社会的課題解決」の必要性が高まる。フローズン業界全体でのパレット積載が進んでおらず、トラックのドライバーによる手積みや手降ろしをパレタイズ、リフトを活用すれば、待機時間を除き平均2時間かかる作業を約30分で完了する。ホワイト物流の24年問題、ドライバーの長時間労働抑制に有効となる。

また今年1月から関東フローズンマザー物流センターが本格稼働した。同センターでの作業は入庫出庫ともパレット単位が基本。アイスクリームはほぼパレット納品が出来ているが、冷凍食品はほとんどがバラ積み、バラ納品で大きな問題となっている。パレットの共有化、レンタルを活用したオペレーションを通じた利点を提案していく。現在参画する16企業からは伝票作業の簡略化で評価が高まっている。

チルドで圧倒的な地位確立へ

今後は22年度に近畿、23年度に中部・東北、24年度に九州でのフローズンマザーセンターの稼働を予定する。

もう一つは「チルド物流プラットフォーム」の確立。過去にも引き取り物流、川上物流で何度も挑戦してきたが、強みでもあるチルドカテゴリーにおいて圧倒的な地位を確立すべく、商物融合のチルドプラットフォーム構築に向けて注力する。全国で発掘した商品やPB、留型を含めた開発商品を集荷・配荷すべく、チルド幹線便の活用と、全国の幹線物流をさらに強化する。メーカー工場からの引き取り、物流センターでの製造商品一括受注、受け入れ、全国配荷といった、新領域である川上物流への挑戦を模索していく。そして、フローズンチルド〝フロチル〟ビジネスは今後も大きな成長が見込める。温度帯変更機能の強化につながるチルドプラットフォーム強化を図っていく。

「配送・受発注DMP(データマネジメントプラットフォーム)」の取り組みも重要。20年度に伊藤忠商事主導下でNRI(野村総合研究所)と共にファミリーマートの店舗配送のさらなる効率化を目指した新配送シミュレータの検討と、検証活動を実施。定温4センター協力の下、実証実験で一定の有効性を確認した。21年度はファミリーマートがプロジェクトオーナーとなり、配送最適化プロジェクトを開始。22年6月開始の春夏コース設計において、1月から10センターで本格運用を始めており、10月開始予定の秋冬コース設計では10~20センターをさらに追加する計画。

従来は配送管理者の経験や勘に頼る配送コース設定だったが、シミュレータ活用による俗人化の脱却、DX推進で配送の最適化を進め、最終的にはコース設計の完全デジタル化も目標とする。

また、AIを活用した出荷数と予測に基づく受発注業務と在庫管理の自動化に取り組む。ファミリーマートの常温センターから始め、47のセンターで約4万アイテムを検証。年間で1万920時間、60%の受発注時間削減効果が表れ、コストにして約3300万円の削減につながった。これに磨きをかけ、4月からは常温全センターへ導入。日本アクセスの全国にある卸物流センターにも導入していく。

「物流基盤をフル活用したECビジネス」の取り組みも進む。「スマイルスプーン」の屋号でAmazon、楽天、PayPayモールのネットショップに出店し、ドロップシップ機能(倉出し)を活用して現在35~36億円を売り上げる。フローズン、ドライ、チルドの三温度帯全てで商品のバラ出し、アソートメントも可能。ニーズに合わせたアソートメントでラストワンマイルを提供できる点が強み。

そして「物流クレーム撲滅」は引き続き継続の課題。中でも日本最大のフロチル作業を行う日本アクセスは、全国59カ所のセンターで温度帯変更作業を行っている。現状の作業エリアを加工場にするため、作業エリアに仕切りを追加。導線の一方通行など、コンタミ防止に向けて徐々に導入していく。また、昨年11月1日付で物流現場検査員制度を設置。食品安全に関わる物流クレーム撲滅に向け、スタッフが月1回センターを必ず巡回、責任を明確化し、点検と報告を行う。現場目線の意識改革、管理強化で物流クレームゼロを目指す。

その他、カーボンニュートラル実現に向けて、物流施設屋上に伊藤忠商事グループのVPPJapanによる自家消費型太陽光発電システム設置を進めている。当該物流施設での消費に加え、余剰電力をCO2フリー電力として周辺地域へ供給する。21年度は5拠点、22年度には9拠点を予定。さらに蓄電池開発が進めば、EV車向けスタンドの設置も実現し、SDGs、エコシステムとしての評価も上がる。

2022年4月25日付

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