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青果の新配送システム /パルシステム

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業界初の専用蓄冷材を開発

新蓄冷材㊨と配送する青果

パルシステム生活協同組合連合会は包装資材のタニックス、電機メーカーのシャープと共同で、業界初となる青果配送専用の適温蓄冷材を開発し7月20日から運用を開始した。適温蓄冷材を採用した新配送システムを導入することで、青果の品質保持とともに消費電力量や作業量の大幅削減につなげる。

パルシステムはこれまで青果の配送に0℃の蓄冷材を使用。青果に直接触れると低温障害で傷むため、緩衝材のマットを間に挟むなどの作業を行っていた。今回の新システムでは、シャープが液晶材料の研究で培った技術をベースに、青果配送に適した12℃の適温蓄冷材を開発。シッパー(発砲スチロール容器)も断熱性の高いものに刷新し、青果の鮮度保持力を高めた。

パルシステム-相模センター

シッパーへ「適温蓄冷材」を投入

また、適温蓄冷材の凍結時間も従来の18時間から12時間に短縮でき、年間の電力を4割削減。これは一般家庭約950世帯分の使用量に相当し、CO2排出量も2千tが削減できる。さらに保冷性能の向上で仕分け時間帯の改善も可能になった。従来は前日の夜間に仕分けを行っていたが、日中の作業が可能になり、人員確保や人手不足解消につながる。緩衝材を挟む手間も削減した。

適温蓄冷材はシャープが生産しタニックスが検証、パルシステムが配送オペレーションを構築した。パルシステムでは4温度帯別に7カ所の物流センターを運用。新システムはまず農産・チルドセンターの岩槻(埼玉)に導入。秋ごろには相模(神奈川)にも広げ、来年6月末に完全切り替えを完了予定。同社の取り扱いアイテム数は毎週約3000で、そのうちの農産250に利用する。

左から茂木部長、大井本部長、内海課長

8月3日に行ったオンライン会見には茂木洋介パルシステム生活協同組合連合会物流部部長、大井淳タニックス常務取締役営業本部長、内海夕香シャープ研究開発事業本部材料・エネルギー技術研究所課長が出席した。

茂木部長は新型コロナの影響について、3月以降は宅配の受注が前年比130%以上と急増しているが、物流センターのキャパシティの関係で120%が限界だと説明した。受注拡大の継続が予想される中、今後は新システム導入により宅配品質をより向上させ、他の食品への応用も検討していく。

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