ロシア向けにオンライン実演
「かるしお」の世界進出が始まった。「かるしお」を提唱する国立循環器病研究センター(国循、大阪府吹田市)は10月29日、ロシア向けにオンラインで、かるしおレシピの調理実演を実施した。日本の健康提案が世界のものとなるか大いに注目だ。
「かるしお」とは「塩をかるく使って美味しさを引き出す」減塩の新しい考え方。日本国内での認知は高まり、加工食品への導入も進んでいる。今回の海外進出のきっかけはなんと日露首脳会談。そこで提案された8項目の「協力プラン」の中にロシアの健康寿命伸長への寄与があり、「かるしお」に白羽の矢が立った訳だ。農林水産省の補助事業「ロシアにおける病院食・介護食等展開推進事業」の実施主体JTBが国循に依頼した。
当日は大阪市内の会場とロシア連邦栄養・バイオテクノロジー研究センター附属病院をオンラインでつなぎ、かるしおレシピを調理実演。メニュー開発と調理は、国循で長らく開発担当だった長尾信之元調理長が担当した。メニューは「焼きカリフラワーのレモン酢」「焼き鮭のマリネ」「さやいんげんのアーモンド和え」「牛肉の煮物」「みそスープボルシチ風」の5品を紹介した。
素材は全て、ロシアで調達可能なものを選択したが課題もあった。減塩の秘策はだしや酢などにあるが、日本でよく使われるかつお節はロシアでは高価なため使えず。別の食材を探したところ、昆布や干しシイタケが輸入されており、コスト内にも収まるためこれを利用し、ロシア側からも好評を得た。国循は今後も健康的な和食や「かるしお」の世界展開を進めていく考えだ。
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