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食の持続可能性へ「社会受容」の壁をどう越えるか~農研機構・千葉理事長が提言/食生活研究会フードコミュニケーション委員会

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第14回フードコミュニケーション講演会を開催

農研機構 千葉理事長が講演

公益財団食生活研究会フードコミュニケーション委員会は6月3日、「第14回フードコミュニケーション講演会」を東京都内で開催し、同時にYouTubeでライブ配信した。講師には、4月に就任した農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の千葉一裕理事長を招き、「食の価値転換が拓く未来 技術・自然資本・心理の統合による持続可能な生産・消費への道 ―新技術の研究開発と社会受容に向けた取組(リスクコミュニケーション)を題材に―」をテーマに講演した。
冒頭、公益財団食生活研究会フードコミュニケーション委員会委員長の矢澤洋一氏は、これまで同講演会がフードファディズム(科学的根拠に乏しい食品情報による消費者行動の歪み)を主なテーマとしてきたことを説明。その上で、「食卓の問題は地球規模の課題と深く結びついている」と述べ、持続可能な食料供給を巡る課題と社会的受容性の重要性について理解を深める機会になるとの期待を示した。

■2050年に世界人口100億人、食料不足は避けられない
講演で千葉氏は、世界人口が2050年までに約100億人へ増加する一方、農地拡大には限界があり、「世界の食料と淡水は奪い合いになることが明らかになっている」と警鐘を鳴らした。
現在の農業生産を単純に1.5~1.7倍へ増やすだけでは問題は解決しないと指摘。農地の7割以上が畜産関連に使われていることや、世界の食料の3分の1以上が廃棄されている現状を挙げ、「増産だけではなく、資源循環や消費のあり方まで含めて考える必要がある」と強調した。
さらに気候変動や地政学リスク、肥料・エネルギーの化石燃料依存、水資源問題などが複雑に絡み合っていると説明した。

■「日本は生産できず、輸入もできない国になる可能性」
日本については、食料自給率が38%にとどまり、飼料や肥料、種子、エネルギーの多くを海外に依存している現状を問題視した。
「このままでは日本は『生産できない国』であり、『輸入できない国』になる可能性がある。つまり食べ物がない国になる危険性を抱えている」と述べ、自然資本と人的資本の二重危機に直面しているとの認識を示した。
特に農業従事者の減少に強い危機感を示し、「今後10年で農業者はさらに半減し、その10年後には4分の1になる可能性がある」と指摘。食料安全保障の観点から、2040年までにカロリーベースの自給率50%を目指すべきだと提言した。

■技術革新だけでは解決できない
食料問題解決の鍵として千葉氏は、「生産革新」「資源循環」「エネルギー」「デジタル」の4軸を提示した。
世界では再生型農業やAI・デジタル技術を活用した精密農業、循環型食料システムの構築が進んでいるとし、日本も森林や里山など豊かな自然資本を活用しながら、省資源型農業モデルを構築すべきだと述べた。
また、内閣府のムーンショット型研究開発制度目標5の取り組みを紹介。AIが害虫を認識してレーザーで駆除する技術や、高温耐性・乾燥耐性を持つゲノム編集作物、昆虫由来タンパク質、藻類を活用した培養食品などの研究開発が進んでいることを説明した。

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