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食の持続可能性へ「社会受容」の壁をどう越えるか~農研機構・千葉理事長が提言/食生活研究会フードコミュニケーション委員会

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■最大の壁は「社会受容」
一方で千葉氏は、「技術開発そのものよりも難しいのは社会受容だ」と強調した。
研究開発は進んでも、社会に受け入れられなければ実装には至らない。日本の研究開発が実証段階で止まりやすい理由として、「社会受容を設計していないことが大きい」と分析した。
その例として昆虫食を挙げた。コオロギを活用した食品開発では、栄養面や環境面の優位性が示されているものの、一部地域で学校給食への導入が検討された際、SNS上で大きな反発が起きた事例を紹介。「当事者は賛成していても、関係のない人が嫌悪感を示してブレーキがかかることがある」と語った。
さらに、「科学的説明だけでは社会は動かない。安全性を強調するほど疑われる場合もある」とし、従来型のリスクコミュニケーションの限界を指摘した。

■フードネオフォビア克服が鍵
講演では、新しい食品への拒否反応を意味する「フードネオフォビア(Food Neophobia)」についても詳しく解説した。
人間には未知の食べ物を避ける本能がある一方で、将来的な食料問題の解決には新たなタンパク源や代替食品の導入が欠かせないと説明した。
「食料安全保障の最後のボトルネックは技術ではなく、人間の脳である」と述べ、今後は心理学や社会科学を含めた社会受容研究が重要になるとの考えを示した。
また、若年層は環境や社会課題への関心が高く、大学生や高校生との対話を通じて手応えを感じていると紹介。「食と自然環境のつながりを幼少期から学ぶ教育も重要だ」と語った。

■日本モデルを世界へ
最後に千葉氏は、日本が持つ水田文化や発酵技術、都市近郊農業などの強みを生かし、「持続可能な食の社会実装で世界標準をつくるべきだ」と提言した。
「未来の食は技術だけで決まるのではなく、社会の選択によって決まる。日本には世界へ示せるモデルがある」と強調。「2035年までに持続可能な食料システムを構築するためには、技術開発と社会受容を同時に進めなければ間に合わない」と訴えた。
質疑応答では、食品メーカーの研究開発担当者から社会受容形成の進め方について質問が寄せられた。千葉氏は「国でも企業でもなく、官民一体で小規模な成功事例を積み重ねることが重要だ」と述べ、段階的な普及の必要性を指摘した。

講演を締めくくった矢澤氏は、「飽食の時代と思われている現在の食環境が、実は揺らぎかねない状況にあることを改めて認識した。危機を乗り越える鍵は社会的受容性にあるという点は、フードファディズムの問題とも通じる」と総括した。

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