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最新鋭の水島工場が竣工/日清製粉

投稿日:2025年5月27日

臨海大型工場へ集約完了

日清製粉 水島工場

山田貴夫社長

日清製粉は5月26日、未来展望フォーラム「進化する『食文化創発』~水島工場、そして未来へ~」を東京のホテルオークラで開催し、取引先など400人近い関係者に向けて、水島工場の稼働を機に策定した新コンセプト「その想いに、小麦粉でこたえたい。」と、「食文化創発カンパニー」を目指す方針を発表した。フォーラムでは石破茂首相が冒頭挨拶。伊原木隆太岡山県知事、伊東香織倉敷市長からも来賓挨拶。懇親会では自民党の森山裕幹事長と小泉進次郎農林水産大臣が祝辞、乾杯挨拶を山崎製パンの飯島延浩社長が行った。

フォーラム開催後には山田貴夫社長をはじめ経営幹部が会見し、新コンセプト策定への想いと、水島工場ならびに3月に設備増強した米国・テキサス州のサギノー工場の役割について会見が行われた。
岡山県倉敷市の臨海部に2023年5月から総工費約180億円を投じて業務用小麦粉の新工場建設を進めてきたが、このほど完工し本格稼働を開始した。創業来125年で培った技術とIoT、AI、ロボット等を駆使したスマート工場であり、国内外のロールモデルとなる。同工場稼働により関東、関西、九州に続き中四国地区での臨海大型工場への生産集約を完了し、生産性向上による安定的かつ効率的な製品提供を可能とする。なお岡山工場(岡山県岡山市)は7月で、坂出工場(香川県坂出市)は9月で閉鎖する計画。

水島工場の特徴は、最新の自動化とデジタル技術を実装した点にある。自動化はライン調整や副資材・製品の搬送から、データ収集・分析、生産計画策定など広範囲にわたり、数年以内に一定の時間において無人オペレーションを実現できる見通し。そして、将来的には全社的に生産性を20%以上向上させることを目標とする。設備能力(2ライン)は、1日当たり小麦挽砕能力550t。小麦サイロ収容力4200t、立体自動倉庫収容力20万袋。

他にも環境配慮型で災害に強い工場であり、非化石証書を活用し使用電力の100%を実質再生可能エネルギー化することで、カーボンニュートラル工場として脱炭素社会の実現へ進む。また、水島工場の立地は国際バルク戦略港湾に指定される水島港、主要サイロの一つである瀬戸ふ頭に隣接しており、大型船舶が直接接岸できるため原料小麦を効率的に調達できる。さらに高速道路も近く、物流環境にも適している。
一方、アメリカでは子会社のミラー・ミリング社(全米第4位)が、3月にテキサス州のサギノー工場に新ラインを稼働し全米第3位の大規模工場となった。同時にイノベーション&テクニカルセンターを設立し、ユーザーサポートの拡充を図った。日清製粉の海外売上高比率は約50%に達し、生産能力は世界第7位。アジア、豪州、北米とグローバルに生産拠点を有する製粉会社は他に類を見ない。

〝食文化創発カンパニー〟目指す

山田社長は、創業以来ユーザーとともに新たな食の創造に努めてきた歴史を振り返り、1980年代には特許技術による冷凍麺市場の拡大、2000年代に自社の外食店を通じたナポリピッツァの普及。さらには北米では日本と同様の専用小麦粉開発を通じてラーメン市場の拡大につなげている。「こうした想いを、グローバルな共通の価値として発表したのが、今回のコンセプト」と語った。

食文化創発カンパニーを目指す上で、現在注力しているのが、高食物繊維小麦粉「アミュリア」と豪州で関連会社が販売する「WISE WHEAT」。着実に国内で広がりを続けており、豪州でも最大の小売業のインストアベーカリーで商品開発が進む。
そしてもう一つが、国内で国内産小麦を最大に使用する製粉会社として、国内産小麦粉の開発とそれを通じた地方の食文化の創発にも力を注ぐ。今秋には水島工場竣工記念として、岡山県産小麦粉「ふくほのか」を使った新商品(うどん用粉)も上市する計画がある。

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