少しずつ、長い時間をかけて…
カップヌードルミュージアム横浜で7月25日に夏休み子ども向けセミナーが開催され、名誉館長を務める野口聡一氏が「〝夢の実現は夢じゃない〟夢をかなえる魔法のレシピ」をテーマに講演した。
子ども向け夏休みセミナーは昨年に続き2回目の開催で、抽選で選ばれた小学5〜6年生37人が会場参加、約700人がオンライン視聴した。会場参加者は事前に「マイカップヌードルファクトリー」でオリジナルのカップヌードルづくりや、ミュージアム内見学を体験。セミナーでは、野口氏が3度の宇宙飛行士としての経験談や、日清食品の創業者・安藤百福氏との出会い、そしてミュージアムの名誉館長になった経緯などを話した。
宇宙飛行士の話は2020年〜21年にかけて約半年間、国際宇宙ステーションでの滞在生活を約8分間のVTRを交えながら紹介。アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターで11月16日19時30分の打ち上げから、片道25時間かけ目的地に。90分に1度太陽が昇るステーションでは、無重力下での船内・船外作業の数々。補給が2カ月に1度到着する際は、ロボットアームで物資を回収するといった映画のような話に子どもたちは目を輝かせていた。野口氏は「ステーションから見える地球や天の川。退屈することはなかった」と振り返った。
任務完了後はシャトルで地球を約1周半、3千度の大気圏を突破し4つのパラシュートでフロリダ州沖に着水後、すぐにダイバーが到着し船上に引き上げられた。3度の宇宙飛行士として3種類のシャトルに乗船した野口氏の経験は世界ギネスに認定されている。
今年は日本人の宇宙飛行士選抜があった。約10年ぶりという話だ。従来は理系中心の選抜だったが学歴項目が廃止され、過去最多の4127人が応募。1年近くにわたりテストが行われ、最終的には諏訪理氏と米田あゆ氏が選ばれ、今月から訓練が始まった。今後、3年ほどかけ様々なスキルアップが行われる。そして、実際に宇宙飛行士として宇宙に出るまでに8〜10年を要するという。 野口氏は「夢は少しずつ、長い時間をかけて、ちょっとずつ近づいていく。自分の情熱・やる気を注ぎ込んでいくのが夢のいいところ」と子どもたちにアドバイスした。
宇宙食ラーメン「スペース・ラム」を食べたのは2003年。日清食品・安藤百福氏が01年正月に残した「宇宙世紀 優劣共生」の書がキッカケとなり、野口氏が宇宙ステーションでもラーメンを食べたいことを相談したという。「スペース・ラム」は開発過程でも何度か試食したが、宇宙ステーションに到着し2日目に食べた時の感動が忘れられないという。宇宙ステーションでの食事は、外国人クルーとの文化交流・コミュニケーションとして非常に重要な要素となる。
講演後は、子どもたちからの質問にも積極的に応えた。ここではその一例を紹介する。
―宇宙飛行士になるためにどのくらい勉強しましたか?
勉強だけでなく、健康と身体づくり、そしてチームワークが重要。勉強・テストは個を競うが、閉塞感を伴う長期間の宇宙船内での生活や、予想をしないことが起きた時など、チームワークが大切になる。
―訓練で一番厳しかったことは何ですか?
船外活動では6時間、7時間、トイレも行けない。地上では、プールに潜ってその環境をイメージする。体力と気力が非常に重要だ。
最後にオンラインから、「好きなカップヌードルの味」を聞かれると、「やっぱりオリジナル」と笑顔を見せた。なお、今回の様子はホームページ上で8月上旬からアーカイブ配信される。
カップヌードルミュージアム横浜
https://www.cupnoodles-museum.jp/ja/yokohama/
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