小池都知事に572社が嘆願書
新型コロナの影響が広域に波及している。イベント自粛で展示会の中止や延期が相次ぐが、東京五輪の延期で不透明感が増す。足元では東京ビッグサイトの使用制限1年延長が発表され、展示会に関わる企業には強い危機感を示している。そこで日本最大の主催会社リード エグジビションジャパン(東京都)の田中岳志社長を発起人代表とする572社が嘆願書を作成し6月9日、東京都に「仮設展示場の建設」を提案した。
東京都は五輪開催で東京ビッグサイトの約半分(7万㎡)を2019年4月から20年11月までIOCに貸し出している。そのため多くの展示会が中止や縮小となり関係者には2兆5千億円の損害。損害の内訳は出展社8万2000社・2兆2000億円、支援企業1600社・2400億円、主催者160社・715億円。
さらに東京都は五輪延期で21年11月まで1年の使用制限延長を発表。損害額は1兆5000億円増えると試算される。内訳は出展社4万9200社・1兆3000億円、支援企業960社・1440億円、主催者100社・430億円。展示会関連企業からは「零細企業で宣伝や全国営業ができず、使用制限延期は倒産の危機」「施工の仕事が激減し、将来に希望が持てないため廃業を検討」など厳しい声が寄せられた。
そこで関連企業は田中氏を代表とする発起人の嘆願書と2800人の賛同署名を集めた。嘆願書では以下の課題を挙げた。出展社の95%が経済の支え手である中小企業であり、展示会という営業活動の場を失えば多くの企業が経営難に陥り日本経済を危うくする。展示会施工業者や主催者の多くが中小・零細企業で、延期が続けば経営難や倒産が続出。世界では経済促進のエンジンとして展示会開催に全力を注ぐ中、使用制限延長は世界経済から取り残される。
対策としては、首都圏近郊に7万㎡の仮設展示場建設を提案。仮設展示場は短期間かつ約130億円と安価に作れ、今後の展示場不足問題の解決にも寄与し、コロナ後のV字回復に大きく貢献するとしている。
嘆願書と賛同署名は東京都産業労働局の土村武史部長を通し、小池百合子都知事に提出。土村部長は「窮状は理解した。できる限りの努力をしたい」と応じた。
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