お~いお茶30周年記念企画「伊藤園健康フォーラム」
伊藤園の中央研究所は「お~いお茶」発売30周年記念企画として、「伊藤園健康フォーラム ~お茶で人生100年時代を豊かに生きる知恵~」を5月23日に都内で開催。健康分野の第一線で活躍する専門家が集い、講演やパネルディスカッションを通じ、〝健康大国〟日本に向けお茶に期待される役割を議論した。
同研究所はお茶を科学の目で捉え「健康・安心・おいしさ・楽しさ」を世界に提供することを目的にさまざまな分野で研究。これまで「緑茶カテキンのコレステロール吸収抑制とLDL(悪玉)コレステロール低下作用」や、和食と緑茶の相性の良さを解明した「緑茶とカツオだしのうま味相乗効果」等を立証。現在は認知機能改善等の検証を進めており、衣笠仁所長は「今後もお茶の安全性、健康性、おいしさに関する最新情報を発信したい」と展望した。
基調講演では、東京大学名誉教授・大学院農学生命科学研究所特任教授の阿部啓子氏が「健康寿命を延ばすには」について説明。阿部氏は「心身ともに健やかな状態の維持、疾病を引き起こさない未病のためには食生活が重要」と解説。特定保健用食品や機能性表示食品といった機能性食品の制度化にも携わっており、超高齢化社会の中、健康寿命延伸のため次世代機能性食品の研究も進行する。「お茶に含まれる成分ポリフェノールには抗酸化機能に加え、ストレス軽減、記憶・認知改善機能に注目している」と語った。
さらに国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター細胞機能評価研究チームの片岡洋祐リーダーは、「茶道の先生はなぜ若々しいのか」を題目に、日常生活でのお茶文化の重要性を紹介。日本人の平均寿命と健康寿命の間には男女とも約10年の乖離があるが、原因の一つに「フレイル」が挙げられる。フレイルは加齢とともに心身の活力が低下する状態をいい、運動や栄養摂取、コミュニケーションの不足を招くリスクがあることで知られる。
意欲や運動量を保つためには積極的なコミュニケーションが必要だが、自然と会話が生まれるお茶を飲む機会はフレイル改善にも有効と考える。片岡氏は茶道の先生の若々しい理由について、年齢や生活の異なる人との会話、儀式性、茶器の見立てによる五感の刺激の関係を指摘した。
また、パネルディスカッションでは衣笠所長、阿部氏、片岡氏に加え、奈良女子大学生活環境科学系生活健康学領域の鷹股亮教授、茶研究所・原事務所の原征彦代表が登壇。「人生100年時代を豊かに生きるには」をテーマに、「日本人はどうやって長寿を獲得してきたか」「健康寿命を延ばすため、我々ができること」「人生100年時代、お茶の役割とはなにか」について討論。
人生100年時代を豊かに生きる知恵として、①抗酸化力を持つポリフェノールの積極摂取②健康診断の結果の確認③抹茶による脳の老化予防や機能維持への期待④脱水時の水分補給としてのお茶の摂取⑤お茶によるコミュニケーション向上を提案。衣笠所長は「これからも世界を笑顔にする、お茶の研究を続けたい」と締めくくった。
なお、会場では日常生活でお茶を楽しむ活動「お茶活」をキーワードに、抹茶をたてたり、ほうじ茶を煎ったりと五感でお茶を体験するスペースが設けられ賑わいを見せていた。
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