会長にはイオン・三宅氏が就任
パーム油を取り巻く環境問題が取り沙汰されるなか、国内の食品や消費財メーカー、小売業、NGOなど18団体が参加し、持続可能なパーム油ネットワーク「Japan Sustainable Palm Oil Network(JaSPON)」を立ち上げた。4月11日に都内で会見したJaSPON・三宅香会長(イオン執行役員)が設立の経緯、主な取り組み概要を説明した。
パーム油は、世界で一番利用されている植物油として多くの食品、石けん等の消費財に使われている。生産国はインドネシアとマレーシアで世界の約85%を占めるが、パーム油を生産するために1980年代以降、アブラヤシ農園の開発が急速かつ大規模に進行。その結果、熱帯林の破壊や泥炭地開発に伴う大量の温室効果ガス排出など環境面の問題だけではなく、農園における強制労働や児童労働といった人権問題も指摘されてきた。
これらの課題解決に向けて2004年にパーム油生産者団体等が中心となり「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」を設立。その後、世界各国で業界の垣根を越えたメンバーが協働するプラットフォームが作られるようになる。
日本もパーム油消費国として責任を果たす役割は大きいと考え、この度JaSPONの立ち上げに至った。今後はメンバー間の情報収集や提供を通して、RSPO認証の持続可能なパーム油の調達と消費に取り組む。
発足メンバーは味の素、イオン、エスビー食品、花王、グリーン購入ネットワーク、Control Union Japan、サラヤ、資生堂、西友、世界自然保護基金ジャパン、ダーボン・オーガニック・ジャパン、太陽油脂、日清食品ホールディングス、日油、ボルネオ保全トラスト・ジャパン、明治、森永乳業、ライオンの18団体。
4月中旬からさらなるメンバーを募集するが、三宅会長は「国内のパーム油の約8割は食品業界。ぜひ食品メーカーの参加をお願いしたい」と呼びかけた。
会見では味の素、サラヤ、太陽油脂が自社の取り組みを紹介。味の素グローバルコーポレート本部ESGタスクフォース担当シニアマネージャーの太田史生氏は「持続可能なパーム油の調達に向けたガイドラインを設けている」と語り、環境保全、人権侵害への対策を強調する。JaSPONに対しては「1社だけでは限界がある。多くのメンバーと取り組むことで、持続可能なパーム油の調達を実現していきたい」と期待を寄せた。
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