アレルギー抑制効果と腸内メカニズムを解明
日本製粉は11月12日、東京・千代田区のJAカンファレンスセンターで「第11回アマニフォーラムセミナー」を開催。最新の医療情報と正しい栄養情報を発信すべく、「〝国民病〟アレルギーに貢献の可能性!」について講演した。
開会にあたり、主催者を代表して日本製粉の取締役常務執行役員の前鶴俊哉氏は、研究結果が日本国民全体の健康に寄与する可能性があるとし「セミナーを通じて正しい医療データを今後も提供し続けていきたい」とあいさつした
第1部は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターセンター長、ワクチン・マテリアルプロジェクト&腸内環境システムプロジェクトプロジェクトリーダーの國澤純氏による「アマニ油が持つ多彩な健康増進効果の実体解明」について講演した。
國澤氏はアマニ油(オメガ3脂肪酸)が持つ健康増進効果をさまざまな観点から検証。アレルギーに対しては症状を抑制する効果を動物実験で明らかにした。腸は体内における最大の免疫臓器で免疫細胞の6割が集中していると指摘した上で、アマニ油摂取によりαリノレン酸が免疫細胞の多い腸管で蓄積していることがわかった。これが腸で吸収されてEPAに、また酵素によりEpETEに変換されることで、腸管の炎症や皮膚のアレルギーへの効果発揮のメカニズを解明した。
しかし、EPAがEpETEに変換するために必要な酵素にはタイプがあり個人差が大きい。同じものを食べても実は効果が人によって異なることはこの要因が考えられる。「特定の酵素を持つ人は良い代謝物ができて効果が得られるが、違うタイプだと効果が得られない」という。
今後は変換する酵素を持っているかいないか、機能で腸内細菌を見ていくことも重要だと提唱した。キーワードは「ポストバイオティクス」。
食品と微生物の相互作用により生産される有用代謝物を対象にした機能性食品や創薬の可能性を示唆した。また現在、各地域と連携したコホート研究を進めてデータを蓄積。介護や健康サポート・薬局、かかりつけの病院など、腸内環境を基軸とした次世代の栄養指導の形を展望した。
第2部では、日本製粉イノベーションセンターの澤根健人氏が「アマニ油摂取による食物アレルギー症状の改善」について紹介。動物実験によりアマニ油を摂取したマウスは鼻の粘膜にもαリノレン酸、EPAが蓄積していることがわかった。またアマニに含まれるリグナン(植物ポリフェノールの一種)にも注目。花粉症などのアレルギー、肝機能への効果の可能性も示唆した。
アマニの具体的な使用方法も紹介。アマニ油ではかける・まぜる・炒めることでオメガ3脂肪酸を効率的に摂取できる。さらにおいしさの面でもコクやまろやかさがアップする効果や粒・粉末では練り込むメリットを紹介した。
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