木戸博徳島大学特任教授・名誉教授ら専門家が最新情報
明治は10月31日、ザ・プリンスパークタワー東京で「~口腔から全身へ、進む唾液研究~唾液の量と質を高めて冬の感染から身を守る」をテーマにマスコミセミナーを開催。近年注目されている唾液の生理機能、特に全身の免疫維持に果たす役割について専門家が最新研究を紹介した。
木戸博徳島大学特任教授・名誉教授が「感染予防における粘膜免疫(IgA)の意義と乳酸菌の役割」と題し講演。
生体粘膜に侵入する病原体を防御するのは、粘膜から分泌されるIgA抗体が主要因子。現行の皮下注射型インフルエンザワクチンは、血液中の抗ウイルスIgG抗体を誘導し肺炎を防御するものの、気道のIgA防御抗体は誘導されない。また抗ウイルス剤がウイルスの増殖を抑制し症状の改善がみられるが、ウイルス抗原の減少は獲得免疫能を抑制し、再感染の確率を上げると問題点を指摘。
一方で、腸管粘膜を介する粘膜ワクチンは気道粘膜のみならず、全身の粘膜の抗ウイルスIgAと血液のIgGを誘導する。食品ではL.Bulgaricus OLL1073R―1(以下、乳酸菌OLL1073R―1株)で発酵させたヨーグルトを食すことで、腸管免疫を介し免疫増強物質として作用。抗ウイルス剤で低下した獲得免疫抑制作用を補強することで生体防御能を高める働きがある。同教授はインフルエンザ感染時の重症化や抗ウイルス剤の副反応を軽減する可能性を示唆した。
また、槻木恵一神奈川歯科大学副学長が「感染症、全身疾病の予防と唾液の力」と題し、乳酸菌OLL1073R―1株の唾液中IgAの増強作用について報告。
乳酸菌OLL1073R―1株を使用したヨーグルトの継続摂取が、唾液中のIgAの分泌を促し、インフルエンザウイルスに対抗するIgA濃度を高める効果があることをヒト試験結果で実証。腸管の短鎖脂肪酸の増加が、唾液中のIgAの増加に重要な役割を果たすことを明らかにした。
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