2019年事業方針を発表~高岡社長が前期業績を高く評価
ネスレ日本は3月26日、2019年事業戦略発表会をネスカフェ原宿で開催。高岡浩三社長兼CEOは18年の業績とデジタル技術の推進について言及。今年はペットフードにも技術を活用し、新たな需要開拓を目指す。
昨年のグループ業績は売上高914億スイスフラン(約10兆3191億円)。オーガニックグロース(OG=為替変動、買収売却等の影響を除いた売上伸び率)は前年比3.0%増、実質内部成長率(OGから価格変動を除いた数量ベース伸び率)2.5%増、営業利益率17.0%増(50bps増=0.5ポイント増)。期中に発表した北米の菓子事業売却、スターバックスとの合意等が市場から高く評価され、ネスレS.A.の株価は1年間で急上昇。19年3月現在、1株90フラン以上と過去最高を更新し続けている。
一方、日本はOG0.5%増、営業利益額1.5%減、営業利益率42bps減(0.42ポイント減)で着地。市場は共働き世帯の増加に伴う家庭内消費の減少、可溶性コーヒーの落ち込み、物流費の高騰など厳しさが増す。
同社は家庭外消費への注力、ネスカフェの値上げ、Eコマースへの投資といった対応策を講じ、OGは上期1.8%減から巻き返し、通期ではプラス成長に好転。高岡社長は「減益だったが厳しい環境下、OGが前年を上回ったのは評価したい。社長就任9年目で一番満足できる業績。社員の頑張りもあり2.5%の昇給を行った」と強調した。
19年の事業戦略については、コーヒーブランドは従来の「ネスカフェ」「ネスプレッソ」に加え、4月から「スターバックス」を展開。3つのグローバルブランドにより、国内コーヒー市場での圧倒的なポジション構築を狙う。
また、ネスレと消費者、業務用ルートをインターネットで結ぶ「デジタル・トランスフォーメーション」を強化する。現在、定期便サービス利用は年間100万件を超え、Eコマースの売上比率は17~18%。これを来期20%まで引き上げる。「消費者、顧客のデータを把握することで直接的なつながりができ、生産性の向上とコストも削減できる」と、高岡社長は期待を寄せた。
昨年開始した「ネスレ ウェルネス アンバサダー」は、スマートフォンを使い食生活や生活習慣から不足しがちな栄養素を分析。個人に合わせた商品を提案する健康サービスで10万人が利用し、加入者の増加が続く。
今年はペットの健康寿命延伸を目指した新ビジネスに着手する。ネスレ日本、ネスレピュリナペットケアとDSファーマアニマルヘルスとのパートナーシップ契約により、最先端の科学的知見に基づき開発したペット用療法食・サプリメント「ピュリナ プロプランベテリナリーダイエット」を6月1日から発売する。
日本で唯一の犬の特発性てんかんや認知機能低下症に対応した「ニューロケア」、犬、猫のプロバイオティクスサプリメント「フォーティフローラ」など計11製品を揃える。
サービス開始にあたりネスレピュリナは、デジタルプラットフォーム「ピュリナ プロプランベッツサポート」を立ち上げた。「獣医師診察の促進」「獣医師による療法食の推奨・指導管理」「ペットオーナーの製品購入」までのプロセスを一貫して行える。
獣医師はペットの診察後、プラットフォームでペットの状態に最適な「ピュリナ プロプランベテリナリーダイエット」を推奨・指導管理し、ペットオーナーが該当製品の注文や配送手続きを行う。人手不足に悩む動物病院では在庫管理の手間を省くことができ、限られた施設のスペースを使うこともない。
プラットフォームでは動物病院側が経過観察のため推奨製品の購入可能期間を設定することができ、ペットオーナーの再来院促進と診療経過の把握が可能となる。
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