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科学で紐解く可能性/キユーピー

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タマゴセミナーを開催

写真は右から研究開発本部のタマゴ開発部担当部長兒嶋高志氏と、本部長金光智行氏、機能素材研究部チームリーダー児玉大介氏

キユーピーは、「いいたまごの日」(11月5日)を前にした10月30日、今年で8回目となる「たまご白書」を公表するとともに、仙川キユーポートで「キユーピーのタマゴセミナー~科学でひもとくタマゴの可能性~」を開催した。

2022年度は鳥インフルエンザの流行から大きな影響を受けた鶏卵市場。足元では飲食業界の月見商戦が本格化するなど需要回復が窺える。同社グループは国内の年間鶏卵生産量約250万㌧の約1割を取り扱うほか、長年にわたる研究開発に力を注いできた。今回のセミナーでは同社研究開発本部の金光智行執行役員本部長ほか、各担当者からタマゴの科学的側面や市販用への展開も開始した加工卵について説明が行われた。

日本人の1人当たり年間鶏卵消費量は、320個(2023年)で世界第4位。鳥インフルエンザの流行で前年(339個)の第2位から順位を下げたが世界有数の消費大国となっている。年間で約25万㌧のタマゴを取り扱う同社には、研究員全体の約4割がタマゴに関わっているほか、タマゴに関わる特許取得件数は世界第1位。さらに国内で10人しかいない五ツ星タマリエ資格取得者が3人在籍するタマゴのスペシャリティ企業。

タマゴは卵黄(マヨネーズ等)、卵白(菓子、かまぼこ、ハム等)、卵殻(カルシウム強化品、土壌改良剤、チョーク等)、卵殻膜(化粧品等)と様々なシーンで活用される。そして、熱凝固性、起泡性、乳化性、栄養、風味色調といった5つの機能を有し、中でも栄養面ではビタミンC、食物繊維を除き、たんぱく質、脂質、ビタミンD等の全ての栄養素を含んでいる。特にたんぱく質のアミノ酸スコアは100で、乳や牛肉、魚肉、大豆との比較では、体内でのたんぱく質利用効率に優れた良質なたんぱく源となっている。

タマゴにはたんぱく質以外にも、卵黄にはルテインやゼアキサンチン、発育に必要なコリン(ホスファチジルコリン/卵黄コリンとも呼ばれる)が含まれる。さらに卵白に含まれるリゾチーム、卵黄を支える白いひも状のカラザにはシアル酸、卵殻類にはシスチニン、卵殻にはカルシウムなど特徴的な成分が多く含まれている。その中で、卵黄コリンは認知機能の維持に働くことが確認されており、今年8月にはサプリメント「コリンEX」を発売した。

またコレステロールについては、健康な人であれば血中コレステロール濃度への影響はない。他にも卵殻の消臭機能や、臨床試験が始まったアレルギー低減卵は今後注目を集めそうだ。

一方、業務用を中心に展開される加工卵は、液卵、凍結卵、乾燥卵の3つに分かれ、独自技術から開発された「エクセルエッグHV」は、通常の殺菌卵よりも泡立ちがよく、スポンジがふわっと仕上がる。乾燥卵白は様々な固まり方をするラインアップも展開。この他、市販用初の「調理用溶き卵」を使った中華風卵炒めキット(冷凍)を9月に発売。現在、チルド帯での商品化の検討も進めている。

加工卵を活用した市販用商品の展開も開始

2024年11月11日付

 

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