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世界で研究進む培養肉の共同体設立へ

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3Dプリントで和牛開発

培養肉共同事業体メンバー

世界中で研究が進む培養肉において、新たな共同事業体が発足。大阪大学大学院工学研究科、島津製作所、伊藤ハム米久ホールディングス、凸版印刷、シグマクシスは3月29日、「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立し大阪大学で会見を行った。

大阪大学が開発した3Dバイオプリント技術は、筋肉組織構造を自在に作製できることが特徴。2021年に同大学と凸版印刷らが、筋・脂肪・血管という異なる線維組織を3Dプリントで作製し、それらを束ねて統合する技術に関する論文を発表。この技術をベースに昨年から島津、シグマクシスと協業し実用化に向けた取り組みを開始した。今回設立したコンソーシアムには、食肉の知見を有する伊藤ハム米久が参画し技術開発を加速する。各メンバーの役割分担は表の通りで、同大学大学院・松﨑典弥教授は「参画5者それぞれが保持する技術を集め、世界に先駆けた培養肉の開発を行う」と意気込みを語った。

コンソーシアム設立に合わせ大阪大学、伊藤ハム米久、凸版印刷は大阪大学吹田キャンパス内に「培養肉社会実装共同研究講座」を開所。19年に立ち上げた大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所とともに研究推進の拠点となる。

今後の情報発信として大阪・関西万博に出展、世界に向けて活動内容を披露する。培養肉自動作成装置・ミートメーカーの展示を予定するほか、培養肉を来場者に提供することも検討中。衛生・倫理面などの規制をクリアし、試食が行える場合は週100食、半年で2400食の供給を想定。現状、世界の培養肉市場で商品化・販売が実施できているのはシンガポールのみで、規制問題が当面の課題だが30年には実用化にこぎ着けたい考え。

他の研究機関の多くが培養肉の完成形を、ハンバーガーなど調理済み食品としている中、同コンソーシアムでは精肉(和牛)としての開発を目指す。現在は安全性を検証中で、オレイン酸など多くの含有成分は和牛と同等であることを確認しており、近く官能評価を行う。

このほかコストの多くを占める自動生産に適した培地の開発、管理方法などを模索する。5者の知見・スキルを生かしつつ、さらなる協業パートナーの呼び掛けも行う。完成すればおいしくヘルシーで、個々のユーザーの注文通りの形状にデザインできる培養肉が誕生することになる。=写真は左から島津・馬瀬嘉昭専務執行役員、伊藤ハム米久・小山剛上席執行役員、大阪大学・桑畑進工学研究科長、同・金田安史理事副学長、同大学院工学研究科・松﨑典弥教授、凸版印刷・遠藤仁常務執行役員、シグマクシス・桐原慎也ディレクター

2023年4月10日付

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