ドレッシング、海外で成長果たす
キユーピーは11月30日開催の取締役会で、次期社長に来年2月25日付で子会社キユーピータマゴの髙宮満社長を内定。同日、本社で会見した。長南収社長は代表権を持たない相談役に就く。
髙宮氏はこれまで研究開発、マーケティング、ファインケミカルなど幅広い経験が強み。今年度からスタートした第10次中期経営計画を引き継ぎ、多様化する国内の調味料、タマゴ事業、中国、北米などの海外事業を強化する。
長南社長は17年の就任当初から任期は5年と決めていたと明かした。19年の創業100周年、「キユーピーグループ2030ビジョン」策定を経て、中計で掲げる商品軸から市場軸による成長を目指す中でバトンを渡す決断に至った。
長南社長は髙宮氏の幅広い分野での実績に加え、理念を大切にグループを束ねる傾聴力、理論的思考による戦略の構築力、何事にも粘り強く対応する人間力を高く評価。「海外事業のスピード化、国内における豊かな食生活の提案、健康寿命の延伸を実現してほしい」と期待を寄せた。
6月に内示を受けた髙宮氏は、身の引き締まる思いで過ごしてきたと振り返る。明確なビジョンを提示、従業員の心理的安全性の担保とチームワークを実行し、「グループを挙げおいしさ、健康、便利さ、豊かさを提供する企業集団を作り上げる」と方向性を示した。
一方で市場環境は厳しさを増し、難しいかじ取りが予想される。変化するニーズを捉えた商品開発、伸長する中食向け調味料には、攻めの姿勢で挑む。原材料高も深刻だが高値推移を前提に、ドレッシングで調理提案を強化する。
入社以来ブランド力の大きさを感じてきた高宮氏だが、「変化を恐れず価値ある商品を生み出し続ける」と力強い。「残りの時間を大切に使い、社長の心得を確固たるものにし就任日を迎える」と決意を新たにした。
髙宮満氏(たかみや・みつる)=1961年4月22日生。60歳。東京都出身。87年東京水産大学(現東京海洋大学)大学院修了。同年入社。13年執行役員。20年キユーピータマゴ社長を歴任。
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